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「私ね、何かわからないけど怖いの。」
「うん」
「毎日朝起きて、こうちゃんにおはようって言って、朝ご飯作って、二人で食べて、凄く凄く幸せなの。」
「俺も。」
「でも、日が経っていくうちに何もないのに怖くなってきて。」
「うん」
「いつか、終わるんじゃないかって。」
「大丈夫だよ、終わらせないから。」
一言一言に優しい相槌を返してくれる。
こうちゃんは握っている手とは反対の手を私の背中へまわし、トントンと心地よいリズムで叩いたり、優しくさすったりしてくれる。
「俺さ」
「なに」
「心のどっかで絶対に終わらないと思ってるんだけど、でも、絶対に終わるじゃん。人間だから。」
「そう、だね」
幸か不幸か、
生を受けた者が必ずしも遂げれることは死らしい。
神様は生物に永遠と生き続ける事を許さなかったらしい。
私だって永遠と生き続けるのは嫌だ、でも、
「別に死ぬことに抵抗があるって訳じゃないんだけど、いやまぁ死ぬのは怖いけど」
「でも、Aをおいて死ぬのも、Aにおかれていくのも絶対にやだ。」
私だって嫌だ。
現実は辛辣だ、私だってこうちゃんと出会わなかったら死ぬことに抵抗なんてなかった、それが必然的なことなんだから。
「だから絶対に俺から終わらせないし、Aが終わらせようとしても終わらせてやんない。」
「こんなに幸せだから絶対に離してやんない。」
「さっきも言ったじゃん、俺一途だって。」
私の手を先程よりも強く握り、背中に回されていた手はギュッと抱きしめるようにされた。
至近距離で聞こえるのはどちらのか分からない心音。
とても速く、大きな音。
「こうちゃん」
「ん?」
「大好き、ありがとう。」
「うん、これからもよろしくね。」
「よろしくね。」
不安になって、確かめあって。
少し不器用な私達にはそれくらいが丁度いい。
こうちゃんの温かい優しさはとても心地が良くて、自然と涙腺が緩んでしまった。
「え!?なんで泣くの!?!?」
「……っなんか幸せすぎて」
「もう、目腫れちゃうじゃん。」
私の目から溢れる涙を指ですくい、ぽんぽんと頭を撫でられる。
「まぁでも、ゆっくり寝て休も。」
「そうだね。」
「起きたら一緒にお皿洗って」
「うん」
「洗濯物干して」
「うん」
「家でゆっくりテレビでも見よっか。」
「うん」
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみ。」
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ぶっく。(プロフ) - どの作品も本当に素敵で、すべての話で心を動かされました!文章がとても綺麗……!最高の7名がそれぞれちがう時間を軸にした物語を展開されていて、本当にそれぞれちがう良さがありました。読んでいてとてもとても楽しかったです!ありがとうございました! (2020年4月8日 4時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 神作者の皆様、執筆お疲れ様でした!どれもこれも素敵な作品で、一つ更新される度に胸を躍らせていました。本当に素晴らしい作品を有難う御座いました…!! (2020年4月8日 0時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
還元(プロフ) - いろさん» 読んでいただきありがとうございます。この後もまだまだ素晴らしい作品が続きますので、どうぞ最後までお付き合いください!コメントもありがとうございました! (2020年4月4日 1時) (レス) id: 0ea79b5d61 (このIDを非表示/違反報告)
はるむにに(プロフ) - 神々の集まりですね、、本当すごいです(語彙力)次のお話も楽しみにしております! (2020年4月1日 22時) (レス) id: 33dd96b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - なんと…凄い神々が集まって作品をお造りになられたのですね、一話目から凄かったです。皆さんの見れるなんて…最高です。ありがとうございます。 (2020年4月1日 20時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:830 x他5人 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年3月29日 15時