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「それはなんともわがままだね」
「わがまますか」
「だって、応える気はないけどちゃんと傷ついてほしいってことでしょ?」

息を呑んだ。
優しく紡がれる言葉と共にやっと振り返った彼女の瞳には、出てき始めた太陽の光がこれでもかというほど集まり、少し潤んだ瞳に湛えられていた。
綺麗だなと思ってしまう。
俺は別に色には詳しくないけれど、きっとこの今の彼女の瞳の色にも名前が付いているんだろう。

ただ今は、彼女の瞳の色に思いを馳せている場合じゃない。俺がこうしている間にも彼女は俺の返答を求めているはずなのだ。

上手いことを言おうとしたって、彼女には気付かれてしまう。
嘘ならもっとバレてしまうだろうから。できるだけ、思ったことをそのままに。

「…俺も好きですよ、Aさん」
「…え」
「いや、だから…」

正直、彼女が言い出さなければ気付くこともなかったというか、まあ好意的に思っている。という程度のものだったから、そう返した自分にも少々驚いている。
それでも、綺麗だと思った彼女の瞳だったり、こんな時ですら強がってしまう彼女のことをもう少し知りたいと思ったのだ。
知りたいと思ったのなら、これでおしまいというのは些か勿体ないのだと思う。

「冗談にしてはタチ悪いよ」
「俺ってそんなに信用ないですか」
「そんなに素直な子じゃないでしょう」

彼女は感情のうち動揺を半分、残りを喜びだったり疑いだったりに、振り分けているような、不思議な表情をしていた。

「今日だけは、素直にしとかないと、後々後悔しそうなんで」
「…本当に思ってる?」
「まだ、始めなので。もしかしたらAさんが思ってるのと、俺の感情じゃ相違があるのかもしれないですけど」
「それは、うん。いいよ全然。…そっか、うん。ありがとう」

その時の彼女と言えば、告白を受け入れられた人とは思えないほど静かに柔らかく微笑んで。それから、少しだけ悲しそうでもあった気がする。

03→←未明、視線と共に/ 還元



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ぶっく。(プロフ) - どの作品も本当に素敵で、すべての話で心を動かされました!文章がとても綺麗……!最高の7名がそれぞれちがう時間を軸にした物語を展開されていて、本当にそれぞれちがう良さがありました。読んでいてとてもとても楽しかったです!ありがとうございました! (2020年4月8日 4時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 神作者の皆様、執筆お疲れ様でした!どれもこれも素敵な作品で、一つ更新される度に胸を躍らせていました。本当に素晴らしい作品を有難う御座いました…!! (2020年4月8日 0時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
還元(プロフ) - いろさん» 読んでいただきありがとうございます。この後もまだまだ素晴らしい作品が続きますので、どうぞ最後までお付き合いください!コメントもありがとうございました! (2020年4月4日 1時) (レス) id: 0ea79b5d61 (このIDを非表示/違反報告)
はるむにに(プロフ) - 神々の集まりですね、、本当すごいです(語彙力)次のお話も楽しみにしております! (2020年4月1日 22時) (レス) id: 33dd96b3e7 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - なんと…凄い神々が集まって作品をお造りになられたのですね、一話目から凄かったです。皆さんの見れるなんて…最高です。ありがとうございます。 (2020年4月1日 20時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:830 x他5人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年3月29日 15時

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