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3. ページ16

「騒がしいぞルク」




なかなかAが起きてこない事に痺れを切らしたのかドアを隔てた所から少しだけ不機嫌な低い声がかけられる。


そして、次に聞こえたのは椅子が圧力から解放されて軋む音。


背中がゾク…とした。
吸血鬼になって覚える、はじめての焦りだ。




「うわ、まず…」




Aを揺さぶる。


起きない。


むしろ、さらに足を絡められる。


死期が近いかも知れない。
本当にこれはウルドに見られて良い光景じゃない。


足音が近づく。


再度、揺さぶる。


足音が止まる。




「何してる」

「ぁ…えっと、ウルド様…」

「ルク、離れろ」




ベッドの上で動きを封じられて困惑していたルクを見下ろし、ウルドは僅かに眉を動かした。


ウルドに従って先ほど散々試みたように引き剥がそうとするがAは力を緩めてすらくれない。


さらにウルドの眉がピクリと動いた。


沈黙が痛い。




「ん…ウルド?」

「なんだ起きてるなら…」

「ふふ…大好き」




声に反応したAは一瞬起きたかのように思えたが、そのままルクを抱き締める力を強めた。


あぁ、頼むから起きてくれ。


頭痛がルクを襲う。


ウルドの眉間に深いシワが刻まれた。


確かに発端は自分自身とはいえ、流石にこんなことで殺されるのは御免だ。


ウルドの機嫌が急降下していく気配を感じながらも、ルクは慎重に言葉を選んでいく。




「えぇと、ウルド様…助けてください?」




ついこの間まで人間だった彼女にここまで振り回されるとは。第五位始祖の威厳がまるで皆無だ。


とりあえず、言い訳を考えるより先にどうにかこの状況から脱する為にウルドへと助けを求めた。


彼がどうAを引き剥がしてくれるかは分からなかったが、とりあえずなんでも良かった。

視線が痛い。

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くれは(プロフ) - 完結おめでとうございます!ふと、ウルドが恋しいと思い戻ってきてこの作品を拝見しました。とても素敵な作品でした。この一言で終わらせるには勿体ないですが、ここら辺で…他の作品でお会いできたらな…と思います! (2021年5月28日 19時) (レス) id: 8383034622 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年7月11日 23時

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