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Aが纏うのは赤と黒だけ。



瞳も唇も赤。

胸元を飾る物も赤。

大胆なスリットが入ったドレスは黒。

ピンヒールもドレスと合わせて黒。



吸血鬼となって少し血色の無い白々とした印象の顔に真っ赤な口紅は良く映える。


普段、ウルドと過ごすことが大半のAは褐色肌を持つ彼に血色の悪さは感じないものの、確かに自身やルクには生きている人間とは違う顔色というものを感じていた。


だがそれも口紅のお陰で今は気にならない。


今度から普段も口紅を引こうかと考えながら、Aはウルドの部屋につながる扉のドアノブを回した。




「早かったな」




壁にもたれかかっていたウルドはその一言と共に体を壁から離した。


彼は変わらずいつもの服装だ。
こうして黒がとても似合う吸血鬼は彼くらいだろう。


今日はウルドの黒を別けて貰ったこのドレスで彼の隣を歩く。


つい見惚れていると、すっと差し出された手に困惑した。この手は一体なんだろう。


彼の意図は十分に分かるが、少なくとも彼は今までにこんなことをする事は一度たりともなかった。




「どうした?行くんだろう」

「えっと…手を、繋ぐんでしょうか」

「それ以外に何がある」




ずいと差し出された黒手袋をしたウルドの手に自分のものをそっと乗せる。


すると彼は満足そうに表情を緩めた。


なんだ、これがやりたかったのか。
そう納得して、いつもはすたすたと先を歩いて行くウルドが歩調を合わせてくれてる。


言葉になら無い嬉しさがあった。
横顔を盗み見て微笑んだ。

3→←1. 奪うのは



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くれは(プロフ) - 完結おめでとうございます!ふと、ウルドが恋しいと思い戻ってきてこの作品を拝見しました。とても素敵な作品でした。この一言で終わらせるには勿体ないですが、ここら辺で…他の作品でお会いできたらな…と思います! (2021年5月28日 19時) (レス) id: 8383034622 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こんぺいとー | 作成日時:2020年7月11日 23時

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