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また苦手なあの轟音が続く。
「A、離れろ」
「やっぱり近くに居るのはダメですか」
「そうじゃない…」
なら今の距離に居ても問題ないではないか、そう反抗しようとしたが、ウルドが苦しそうに口を手で押さえた事で察した。
間違いない、吸血鬼の吸血衝動だ。
「…私は、どうすればいいですか」
「うるさい、離れろ」
Aは彼が無理に側に居ようとするといつか限界が来るのを知っていた。
彼は以前から頑なに血を飲む姿を見せない。
いつもルクが持ってきた物を部屋の外で飲み干してから帰ってくる。
以前からそうだった。
Aはその度に、なぜそんなに私の血を飲もうとしないのか、その姿さえも見せないのか、と彼が席を立つ度に変な疎外感に近いものを感じていた。
以前の礼もできていない。
なら、これを機に何かが変われば、と思った。
今この部屋に血を運んで来るルクは出払っていて居ない。
そして、彼は一度もこの部屋を出ていない。
もしAが寝ている隙に側を離れていないとしたら、彼は私をここに連れて来てから一度も血を口にしていない事になる。
「ウルド、私を見てください」
「お前の我が儘に付き合ってる場合じゃない。傷つけられたくなかったら、さっさと離れろ」
苦しみに顔を歪ませながら、彼は強く拒絶した。
こんなにも拒絶されるのは初めてだった。
だが彼女はより知りたくなってしまった。
彼がなぜこんなにも自分の前で血を嫌うのか、と。
あくまで真剣な表情で血を欲するウルドと向き合うA。
菖蒲の色を持つ髪を退け、首を露にした彼女は静かに赤い瞳が見開かれたのを見ていた。
「………ｯ」
理性で押さえつけていた甘い誘惑に対する欲は恐ろしくも簡単に砕け散った。
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れん(プロフ) - タコさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年5月25日 13時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
タコ - とっても面白いです。これからも頑張ってください！ (2020年5月24日 16時) (レス) id: 805d2b00fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年5月19日 23時
