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「あの日は何をしていた。襲われた日だ」
「お買い物の帰りでした。ご飯を作ろうと思ったんですけど…調味料がわからなくて、とりあえず片っ端から買って好きな物を使おうかなーって」
「お前はロシア育ちでは無いのか」
「最近日本から来ました。まだ勝手がわからなくて困ることが多いですね」
ウルドはふとルクに果物を詰めなおしてもらった袋を見た。
今は邪魔にならないように、小さなAの物であろうバックと一緒に部屋の隅に置かれている。
なんとなく、店にある調味料を全て買っていくAを思い浮かべたが、それがあまりにも滑稽で想像することを止めてしまった。
その一方でAは部屋の隅に置かれている物に興味が移っていた。
「あれは…！てっきりあの場所に放置されて連れてこられたのかと思ってました」
「お前のものだろう」
「そうですけど…ふふ」
「何がおかしい」
ウルドが持ち物を大切に運んでここに置いている事は、Aが餌として連れ拐われていない事の証明でもあった。
本当に身を案じてここに連れてきたらしい。
吸血鬼の人間への好奇心なのだろうか。
もっと別の何かなのだろうか。
この時はまだわからなかった。
「あ、そういえば…吸血鬼、ロシアにも居たんですね。最初はびっくりしちゃいました」
「どこにでも居るだろう」
「てっきり日本だけの話かと思っていたんです。しかも、私が出会った吸血鬼はちょっと優しいです」
くすりと笑ったAはベッドに横たわったまま、傍らに座るウルドを見上げた。
大きな瞳に映された本人は少し驚いたのか、普段は切れ長で凛としている瞳を丸くする。
人間に優しいと言われたのは二千年も生きてきて初めてだったかもしれない。
血を啜って生きる呪われた生き物が優しい？
仮にも餌である人間が頂点捕食者である吸血鬼に向かって言う言葉ではないだろう。
でも、不思議と悪い気はしなかった。
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れん(プロフ) - タコさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年5月25日 13時) (
レス) id: 61b77cc65e (このIDを非表示/違反報告)
タコ - とっても面白いです。これからも頑張ってください！ (2020年5月24日 16時) (レス) id: 805d2b00fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こんぺいとー | 作成日時：2020年5月19日 23時
