45.そこに星は光り輝くから ページ46
紗夜が私を呼び止めた？
「私はあなたがいても構わない。むしろ見ていって欲しい。」
それは紗夜の強がりに見えなかった。
「わかった。」
「……ありがとう。それじゃあ湊さん、始めましょう。」
「その前に5分だけ時間がほしい。彼女のオーディションをしたいの。」
とまあ色々あって、あこはドラムで今井さんがベースを持ってセッションした。それからしばらく沈黙が続いている。
それは昨日のセッションを彷彿させるような、彼女たちだけの音だった。
息の合ったリズム隊に紗夜の正確なギターが刻まれ、湊さんの熱のこもった歌が情景とともに流れてくる。何かに追われたようなそんな緊張感に似た迫力を感じた。
足りないピースはあるものの歯車がちょうど噛み合ったようなバンドだと思う。
「あこ……どうでしたか？」
「ええ、合格よ。ただ……。」
きっと、ここにいる全員が同じことを考えているはず。
私も昨日経験したからわかる。これは共鳴。とても不思議な感覚。
この後、今井さんもベース担当になり、私はオファーを再び断ってお開きとなった。
自然と帰り道は紗夜と一緒になる。すでに外は暗くなっていた。
「バンド組んでたんだね。」
「ええ。湊さんに誘われたのよ。ソラはまだ……」
「組まないよ。誰とも。」
「バンドを抜けたことを後悔しているの？」
「どうだろう。本気だったけど……今は。」
上原さんや宇田川さんのリズムに音を重ねたい。
「……ソラは何も悪くないわ。メンバーだった人たちも知っているはずよ。」
「結果的に先輩たちを傷つけた。……仕組まれたことだったとしても防ぐことも、逆らうこともできなかった。」
あのステージに一緒に立つと約束したのに、私は1人でFUTURE WORLD FES.のステージに立ってしまった。
その頃にはすでにアメリカに行くことも決まってたし、謝ることすら出来なかった。
「私はソラがやりたいようにやればいいと思ってる。そこに星は光り輝くから手を伸ばす。これは前にあなたが言ってたことよ。」
そこに星は光り輝くから手を伸ばす。
心から望む光だから、それは気づけばそこにいるから手を伸ばして手に入れる。たしかに紗夜にそう言った。
だけど今は。
「星が遠いよ。こんなにも綺麗なのに、手を伸ばしても届かない。」
「……そういうものよ。私の星もまだ遠い。だけど、何度でも手を伸ばす。いつか届くと信じて精一杯に頑張る。」
何度でも手を伸ばす、か。
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みずの(プロフ) - 何だかんだ言って夢主は紗夜さんのこと気にかけてるんですね。頑張れ夢主ちゃん！ (2020年4月15日 2時) (
レス) id: d74848b20e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - みずのさん» これから紗夜との絡みも増やして行く予定ですのでお楽しみに！ (2020年4月10日 22時) (レス) id: e241165bdf (このIDを非表示/違反報告)
みずの(プロフ) - 紗夜さんもマギさんを見てたんですね！ (2020年4月10日 1時) (レス) id: d74848b20e (このIDを非表示/違反報告)
刹那(プロフ) - みずのさん» ありがとうございます！そう言っていただけると嬉しいです。 (2020年4月7日 12時) (レス) id: e241165bdf (このIDを非表示/違反報告)
みずの(プロフ) - すごい読みやすいし内容がもう好きです！ (2020年4月7日 0時) (レス) id: d74848b20e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 | 作成日時：2020年3月17日 22時
