おはぎの悪魔 ページ7
「暇つぶしに付き合ってほしくて」
「んー、そんくらいで金もらえんならラッキー! ってとこだな!」
とりあえず隣にいればいいんだろ、とだけ言うと、デンジくんは私に背を向けて机に座った。自分の席に座りなよって言うと、横向きのまま顔だけこっちを向いて、近い方がいいじゃんと答える。
「暇かぁ。Aは放課後いつもなにしてんの?」
「家で勉強するくらいかな」
「つまんねえけど、偉いなー」
「つまんないは余計!」
机に腰を落ち着けているデンジくんにつられて、私もだらしなく肘をついた。
「……あ、この席の子机に落書きしてる」
「お、マジじゃん」
机の天板、デンジくんが座ってるのと私が肘をついてるのの間のところに、何か絵が描いてあるのを見つけた。ノートの隅っこにも描けるくらいの大きさで、得体の知れない生き物みたいなのが描いてある。
「何に見える?」
「ンー……悪魔! おはぎの悪魔だ」
何気なく尋ねてみると、デンジくんは冗談めかして言った。なにそれおかしいよって笑いながら、私はその落書きを指でなぞってみる。たしかに、丸いフォルムがおはぎに見えなくもない。でも、そんなに強くなさそうだ。おはぎだし。
「そうだ、おはぎとぼたもちの違いって知ってる?」
「おはぎとぼたもちぃ? アレだろ……大きさと味の違い!」
「ザンネン! 正解は、作る季節でした」
「季節だけ!? じゃあ、名前は違うけど同じモンってことかよ」
「そうそう。それぞれ、萩と牡丹の花が咲く季節に食べられるの」
「知らなかった……」
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めがね - とっても良い!!作品!!!です!!素敵な作品をありがとうございます。 (3月20日 0時) (レス) @page18 id: a861171d21 (このIDを非表示/違反報告)
awake - 好き (2月17日 21時) (レス) @page18 id: 8771cd27cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきいろ | 作成日時:2023年9月2日 11時