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掃除当番 ページ5

「あれ、デンジくん、今日も掃除当番……?」
「おう。Aヨロシク〜」

 その日の放課後も、教室掃除は私と彼の二人っきりだった。お昼のイスは別の場所でやっていたみたいだから知らなかったけど、今日も10円で働かされているらしい。

「手伝ってくれてありがとう」
「え? ありがとうとか言ってくれんの!? A――ってかAさん、優しすぎねぇ!?」
「いや、割と普通なんじゃない……? あと、さん付けなんてしなくていいよ」

 今週が掃除当番で、今日は火曜日。本当の当番の子達が毎日デンジくんに掃除を代わりにやってもらうんだとしたら、今日を入れなくてもあと3回はデンジくんとお話する機会が与えられたことになる。
 そうだと考えると、私はちょっと嬉しいと思った。押し付けられた側の彼がどう思っているか、私には知る由もないけど。

「……あの、どうしてイスになったりしてるの?」

 あまりにも気になったので、聞いてしまった。掃除当番で二人になったりでもしない限り、デンジくんと話せることなんて多分ないから。

「あ〜、俺ん家貧乏でさ」

 なんでもないことのように、デンジくんは言った。
 自分より頭のいい妹さんが大学に行けるよう、学費を貯める必要がある。でもバイトはできないから、こういうことをして小銭を稼いだりしている――と。

「そうなんだ……偉いね」
「へへっ、だろ〜」

 癖なのだろうか。誇らしげな表情を浮かべながら、昨日と同じようにブイサインを向けてくるデンジくん。切実な事情と無邪気な笑顔に、胸が痛んだ。

「……ねえ」
「んん?」

 ほうきを持った手を一旦止めて、彼の方へ歩み寄る。ちりとりでゴミを集めるべくしゃがんでいたデンジくんは、突然近づいてきた私を不審に思うでもなく見上げた。

「……私でもお金払ったら、いうこと聞いてくれるの?」

 途端、沈黙が訪れる。自分が何を言ったのか、口走ってしまった後に気づいた。お金を渡してクラスメイトを自分の言いなりにするなんて、最初は関わりたくないと思っていたことなのに。

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めがね - とっても良い!!作品!!!です!!素敵な作品をありがとうございます。 (3月20日 0時) (レス) @page18 id: a861171d21 (このIDを非表示/違反報告)
awake - 好き (2月17日 21時) (レス) @page18 id: 8771cd27cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきいろ | 作成日時:2023年9月2日 11時

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