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ぼんやり ページ4

その日から、私は何かとデンジくんが気になるようになった。仕方のないことだ――授業のこと関係なく話せたのは、このクラスになってからは彼が初めてだったわけなんだし。

 デンジくんの席は私の席と同じ列にあった。横にみっつ、席をずらせばデンジくんの席。二人のクラスメイトが間にいるけど、その二人とは別に仲がいいわけじゃないからその二人のことはあまり気にならない。
 二人を隔てた向こう側で、先生の板書を一生懸命ノートに書き写しているのが見える。先生が教科書の本文を解説まじりに読み上げているのを聞き流しつつ、私はバレないようにちらちらとデンジくんの方を見ていた。

 昨日のお昼休みみたいに、こっち向いてくれないのかな。私のこと見てくれないかな。そんなことを考えておいて、目が合ったら恥ずかしいのでそのままでいてほしいとも願った。

 休み時間になった。次の授業の準備を済まして、前回のノートを復習がてら見返す。重要単語がそんなに出ていなくて覚えることも少なかったので、ノートを閉じた。徐ろに横を見た。

 友だちの席で話しているのか、隣の二人は席に不在で、少し離れた先で頬杖をついているデンジくんが見えた。気だるそうに口を開けたままぼうっとして、虚空を見つめている。
 いつもデンジくんをイスにしている女子達はいなかった。恐らく、トイレでたむろしているんだろう。年頃の女子にはトイレに集まる習性がある。

 チェンソーマンのことを考えているのかな。それとも次の授業のことかな。彼がぼんやりしているのをいいことに、開いたノートをあたかも盾の如く構えながらじっと見つめ続ける。
 眠たいのか半分しか開いていない眼だとか、結構がっしりしている肩だとか、喉仏のはっきりした首だとか。色々な場所に目移りしてしまったが、私が一番凝視していたのは、デンジくんの髪だった。

 最初見た時は柄が悪そうで怖いかもって思っていた金色も、光に当たってキラキラしているようだった。ところどころ跳ねていてツンツンしてるけど、触ってみたら気持ちよさそうだな……なんて。
 そこまで考えて、クラスメイトの男子相手に何考えてるんだろう、と冷静になった。一回話したくらいでこんなふうに考えるのは、失礼じゃないか。
 心做しか火照った顔をノートで扇いで、なんの意味もないのにペンを握った。

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めがね - とっても良い!!作品!!!です!!素敵な作品をありがとうございます。 (3月20日 0時) (レス) @page18 id: a861171d21 (このIDを非表示/違反報告)
awake - 好き (2月17日 21時) (レス) @page18 id: 8771cd27cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきいろ | 作成日時:2023年9月2日 11時

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