すき ページ17
「好き、うん、マジで好き！！」
「えっ」
思わせぶりなセリフどころか、ストレートすぎる好意をぶつけられて私は思わずたじろいだ。そうだ、彼はこういう人なんだった。
顔を真っ赤に染め上げたデンジくんから、私は目を離せない。心臓の鼓動音が、また一段と加速する。それに比例するように、恥ずかしさがこみ上げてきた。
「……Aは、どうなんだよ？」
「えあ、わた、しは」
私がデンジくんのことを、どう思ってるのか。何も知らなかった頃ならまだしも、彼の好きなものとか家のこととか――そういう些細なことを知ってもなお、彼が関わりたくない人だと思うのか。自問自答する。そんなことない。少なくとも、嫌いではない。
では好きなのか。改めて考えるために、さっきデンジくんに「好き」と言われたことを思い出す。顔が熱いし心臓は苦しいし、でも嫌じゃない。むしろ――
「……っ！」
「うお！？」
火照った顔を隠すように、私は目の前の彼に勢いよく抱きついた。隙だらけなデンジくんがわるい。さっき良いって言ったし。……正確には言ってなかったような気もするけど、それらしいことを言っていたのだし。
「あのっA！？ これって、そういう！？」
私に抱きつかれながら慌てふためくデンジくんの首筋に、そっと顔を埋める。思ったよりワンちゃんの匂いはしない。汗の匂いがした。でも全然いやじゃない。緊張で強張る背中に、回した腕に力を込める。
「嫌、かな」
「全然！ 大歓迎でぇす！」
さっきまでの狼狽えぶりはどこに行ったのやら、打って変わって嬉々とした声色で彼は言った。私に抱きしめられたまま、背中に回された彼の手が遠慮がちに、さわさわと私の背中を撫でる。
「……私がデンジくんを好きかどうか、なんだけど」
顔を上げずにそこまで言うと、デンジくんの動きがぴたり、と止まる。
私が続きを言うのを、大人しく待ってくれている。
「すき……じゃなきゃ、こんなことしないよ」
たどたどしく、ようやくそれだけ絞り出すと、私は再び彼の首元に顔を埋める。耳まで真っ赤になっているだろう自分の顔を、デンジくんには見られたくなかったから。もう、恥ずかしくて死んでしまいそうだ。
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めがね - とっても良い！！作品！！！です！！素敵な作品をありがとうございます。 (3月20日 0時) (
レス) @page18 id: a861171d21 (このIDを非表示/違反報告)
awake - 好き (2月17日 21時) (レス) @page18 id: 8771cd27cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あきいろ | 作成日時：2023年9月2日 11時
