ワンちゃん ページ15
昔よく、犬を飼ってる叔母さんの家に遊びに行っていたな。でも犬も叔母さんも叔母さんの家族――私のいとこも、ずっと前に悪魔に殺されてしまったから、もう二度と会うことは叶わない。
目を閉じて、あの日の光景を、あの犬の温もりを思い起こす。昔のことだから、悲しかったこと以外は曖昧だけど、あの手触りと温度だけははっきりと思い出せた。
「デンジくん撫でてると、すごく癒されるなあ……ワンちゃん撫でるのとかとはちょっと違うけど」
叔母さんが飼ってた子の犬種はラブラドール・レトリーバー。食いしん坊でフレンドリーな子だった。なんて呼んでたかは、思い出せない。
それから数分間、私はデンジくんを思う存分撫でまくった。
「ふー、満足した! ありがとう、デンジくん」
「……もう終わり?」
私が頭から手を離すと、デンジくんは名残惜しそうな声を漏らした。私は思わずドキッとして、自分の胸を手で押さえる。心臓の鼓動がいつもより早くなっているのがわかった。
「い、いい! ダイジョブです!!」
これ以上は私が、まずい。背を向けて猛ダッシュで帰ろうとしたが、それは叶わなかった。
「ちょ、A!」
デンジくんが教室の出口に向かって走る私の腕をぎゅっと掴んだからだ。振り解けないくらいの力ではないけど、私は立ち止まって彼を見た。
「な、に……?」
「犬……そうだ犬! 俺ん家、犬7匹飼ってて……あと1匹猫もいるけど」
「なっ、7!? それに猫ちゃんも!?」
どういった意図でそんなことを言い出したのかは分からなかったけど、7匹と1匹の犬と猫に囲まれる彼を想像して、不覚にもときめいてしまった。そんなの絶対可愛いに決まっている。
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めがね - とっても良い!!作品!!!です!!素敵な作品をありがとうございます。 (3月20日 0時) (レス) @page18 id: a861171d21 (このIDを非表示/違反報告)
awake - 好き (2月17日 21時) (レス) @page18 id: 8771cd27cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきいろ | 作成日時:2023年9月2日 11時