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「……ぜっ……全然いいけどォ〜?」
「じゃ、じゃあ座ってもらってもいい?」

 ぎこちない動作で、彼の背後の席を指さす。デンジくんはこくこくと頷いてからそこに移動して、イスに腰掛けた。身長差はこれで埋まる。
 私は頭に手が届かなきゃいけないので立ったまま。彼が必要以上に背筋を伸ばすものだから、つられて私も変に緊張してしまった。

「あのっ、それでは……!」

 意識しすぎて敬語になってしまうが、彼はそれを受け入れてくれた。生唾を飲み込んだデンジくんの喉仏が小さく上下する。「失礼いたしますっ」と声を掛けた私の手を、デンジくんの目が追う。
 まずは右手をそっとのせ、毛先の流れに沿って頭頂部から後頭部へ撫ぜていく。外跳ねがちなくせっ毛は近くで見るとさらに可愛い。続いて、左手で側頭部を撫でて、耳に触れないよう気をつけつつ髪を梳く。

「んああ!?」
「ご、ごめん!」
「いや、やべえんだよ、ちょいタンマ!!」

 頭皮に直接触れてしまったのがいけなかったのか、デンジくんの頭がびくっと震える。思わず手を引っ込めると、彼は私を見上げてそう叫んだ。

「その、嫌だった……?」
「めちゃくちゃ気持ちいっす!!」
「あ、うん……良かった」

 食い気味に返答するデンジくんに、私は安堵して撫でるのを再開する。

「……なんか、これ……俺しか得してなくねぇ……?」

 手のひら全体を使って頭をわしゃわしゃ撫で、髪の毛を弄って、自分の好きなように堪能し続けていると、デンジくんがぼそりとそう言った。

「そんなことないよ。私が進んでやってることなんだから、いつもと一緒」

 というかそんなこと言われたら、私なんかでも調子に乗ってしまう。
 両手をゆっくり下へ持っていくと、親指の腹で頬の感触を確かめる。ハリのある、健康的な肌だ。

「……んふふっ」

 笑みが零れてしまってちょっと恥ずかしかったので、今度は両手でデンジくんの頬を包んだ。

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めがね - とっても良い!!作品!!!です!!素敵な作品をありがとうございます。 (3月20日 0時) (レス) @page18 id: a861171d21 (このIDを非表示/違反報告)
awake - 好き (2月17日 21時) (レス) @page18 id: 8771cd27cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきいろ | 作成日時:2023年9月2日 11時

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