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最後の日 ページ12

あっという間に今週の掃除当番最後の日になってしまった。当然のようにデンジくんは毎日当番の代理を引き受けてくれると思っていたけど、昨日は彼に用事があったみたいで、放課後になるとすぐに教室からいなくなっていた。今日はどうなんだろうと緊張しながら一日を過ごした。

「デンジぃ、今日はよろしくな」
「あ、うちらも頼むわ〜」
「おう。代金は受け取るぜ」

 昨日の4人から10円を受け取っているデンジくんが視界の端に映った。抑えがたい喜びから、思わずその場で飛び跳ねそうになったが、なんとかぐっと堪えた。

「デンジくん。ほぼ一週間、私たち二人だけが当番みたいになってたけど……今日が最終日だから、がんばろうね」

 ほうきを1本手渡しながら、私は彼に声をかけた。そう、今日が最終日なんだ。二人きりで話せるのも、きっと最後。

「金貰えりゃいいかと思ってやってたけどよ、Aと一緒だからすげー助かってたわ〜。ありがとな」
「わ、私のほうこそ!」

 向けられた笑顔に動揺して、思わず上ずった声が出てしまった。けど、彼の方はそんなこと気にしてないのか、「そんじゃ、はじめっか」と小さく呟いて壁沿いから掃除を始めた。
 私も彼にならって、反対側から掃除をし始めた。

「ねえ、デンジくん」

 教室の中央まで戻ってきたとき、私は勇気を出して声をかけてみた。彼は、やっぱり何も気にしていない様子で、いつものように気だるげに振り返って私を見る。

「この後時間、ある?」

 彼の目を見て、私ははっきりとした声で問いかけた。心臓がばくばくと跳ねている。

「いつものな! 昨日は悪かったな、ちょっと外せねえ用が入っちまってて」
「ううん、気にしないで。ほんとならデンジくんは掃除当番じゃないんだし」

 いつもと同じように、彼は快諾してくれた。いつものようにお喋りをして終わるのも悪くないとは思うけど、今日は多分、こうやって私がデンジくんの時間を買える最後の日。最後くらいはなにか、特別なことがしたいな。
 火曜日、初めてデンジくんにお金を渡して頼み事をしたときと同様に、どうしようかなと思案しながら、床に落ちているゴミを集めていた。

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めがね - とっても良い!!作品!!!です!!素敵な作品をありがとうございます。 (3月20日 0時) (レス) @page18 id: a861171d21 (このIDを非表示/違反報告)
awake - 好き (2月17日 21時) (レス) @page18 id: 8771cd27cf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あきいろ | 作成日時:2023年9月2日 11時

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