03: ページ5
.
そのまま何も話すことはなく、ただただ時間が過ぎていく。
彼は参考書を開いて自習をしていて、私はずっと本を読んでいる、そんな不思議な空間。
ちらりと横目で見ると、高校の数学の参考書らしくずっと気難しい顔をしていた。
「…チッ」
(うわ何か舌打ちする姿に貫禄があるんですけど)
私が隣にいるからか、集中が切れたらしく参考書を鞄にしまってこう言った。
「……オイ、メガネ女」
そう、彼は私に話しかけて来たのだ。
どうせ暴言を吐かれるだけだろうし、あの女もいないし別に喋っても問題はないか。
「てめェ、無個性なんか」
「無個性……?」
今まで私の声を聞いたことがなかったのか、彼は驚いたように目を丸くした。
無個性。
あぁ、そういえば私の個性はメデューサだから、無個性みたいになってるのか。
うーん、ここは否定しておくべきか?
「……無個性というか、個性はあるけどあまり見せたくはないかな」
「没個性か」
「だね」
久し振りに男子と話したというのに、私の声は震えることもなく発せている。
よかった、コミュ障になってないかずっと不安だったんだ。
.
柄にもなく、綺麗だと思った。
見た目は地味なのに、透き通るような透明な声を聞いて驚きで目を見開く。
空気に溶けてしまいそうな、誰かが声を発したら聞こえなくなってしまいそうな。
ああ、気持ち悪い。
今まで味わったことのない変な気持ちに、自然と気分が変になってくる。
「個性、嫌いなんか」
「怖い」
こういう声が、意外と俺は好きらしくこんな地味野郎とも普通に話せている。
個性が怖いということは、簡単に人を殺せる個性か。
だがコイツは、どこか他人事のように本を読みながら淡々と答えを言っていく。
「というか私、個性使ったことない」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Runa - 椿さん» 分かりますその気持ち(真顔)。そんな最高なラストになるよう、頑張りたいと思います!! (2018年12月3日 1時) (
レス) id: 938638b464 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - あさん» PCの不具合で返信が遅くなりすみませんでした!!こんな短文で感動したのは初めてです。ありがとうございます。 (2018年12月3日 1時) (レス) id: 938638b464 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 好きです(唐突)かっちゃんとくっついてほしいけどお兄ちゃんともくっついてほしい...... (2018年11月19日 12時) (レス) id: 269029bd01 (このIDを非表示/違反報告)
あ - おもろ (2018年11月18日 17時) (レス) id: ade81fe771 (このIDを非表示/違反報告)
Runa - ちぃとんさん» ありがとうございます!!正直かっちゃんの扱いに悩んでおりまして･･･ご期待に添えられるよう、頑張ります!! (2018年11月13日 19時) (レス) id: 3e6d8cfb03 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Runa | 作成日時：2018年11月10日 19時
