世界の終わりで (ページ20)

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「ということで、結婚しました」
「あら、良かったじゃない。ねぇお父さん」
「そうだなあ、拳もそんな歳か…」

俺は電話で両親に報告をした。彼の両親に会ったあとに俺も両親に彼のことを報告しとかなくてはいけないな、と思い恐る恐る電話で打ち明けたのだが、「あら、いいじゃない」程度の反応で拍子抜けしてしまった。結婚の報告ももっと驚くかと思ったのにやはり反応が薄くて肩透かしを食らう

「どっちから求婚したの？」
「あ、えっとそれは一応俺、かな？」
「そうなのか。俺が母さんにプロポーズした日は一段と寒い雪の日でな、」
「はいはい。それ100回は聞いたから。じゃあ切るよ」

えー、と駄々をこねる父の声を聞こえなかった振りをして電話を切った。心の荷が軽くなってふう、と大きなため息をつく

「…親御さん、どう、だって？」
「ああ、良かったねて言ってたよ」
「えぇ…軽いな…」
「楽観的なんだよね」

福良に似てるね、と彼がケラケラ笑うもんだから俺が両親に似たんだよ、と突っ込むタイミングを失う

「福良の子供の頃の写真とかみたいな」
「いやぁ、俺顔変わってないからなあ」
「何となくそんな気はする」
「それ褒めてる？貶してる？」

彼はまた笑った。家に帰ってきてから彼の笑顔が増えた気がして俺は少し嬉しくなった

「じゃあ、俺ご飯作るから。何食べたい？」
「ソーキそば！」
「特殊すぎない？却下で」
「ケチ！」

頬を膨らます彼の頭を撫でる。サラ、と揺れる黒髪からシャンプーの香りがほんのり香った