世界で一番おにぎりが好き！ (ページ3)

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俺がEXOのチャニョルってばれる！
せっかくの平和な午後なのに！とチャニョルは焦った。もし彼女が自分たちのファンなら大騒ぎ間違いなしだ。しかし彼女はキョトンとこちらを見上げている。というか、なんだかとっても気まずいとでもいうように、表情が強張っていた。

(あ、あれ…？)

黄色い声でキャーキャー騒がれるのを覚悟していたのだが、それとは正反対の反応にチャニョルも戸惑う。と、

ぐきゅるるる！！！

「？」
「げ！」

空気を読んだのか、読んでないのか、チャニョルの腹の虫がそれはそれは盛大に鳴った。

(ちょ！俺アイドルなのに！！女の子の前で腹の虫鳴くとか有り得ないんですけど！？)

他のメンバーが傍にいれば全員、一人残らず大爆笑しているだろう。なんて頭の片隅で思いながら、チャニョルは気恥ずかしくて視線を泳がせた。すると、女の子がおそるおそるこちらを伺って来た。

『あ、あの…食べますか？』
「え！？」

(に、日本語…！？てか、なんだって！？)

チャニョルがぎょっと見返すと、女の子は「あ」と声を漏らした。そしてこほんと咳払いをすると、

「よかったら、これ、食べますか？」

少し拙いが、ゆっくりと聞き取りやすい韓国語で彼女は膝の上の弁当箱をチャニョルに見せた。
白い小ぶりのお弁当箱には、おにぎりがもうひとつ鎮座している。彼女の申し出に驚いて、チャニョルは日本人であろう少女の顔を改めて見た。曇りひとつないような純粋な瞳である。

「あ…でも、君のでしょ？」
「大丈夫です。家に帰ればまた、作れるから。」

どうぞ、と女の子はチャニョルに再び弁当箱を差し出した。
どうしようか、とチャニョルは思案するが、腹の虫が再びぐるぐると鳴りだしたので「いただきます」とおにぎりを手に取った。女の子は「どうぞ」と微笑んで、ベンチの隣を空ける。チャニョルは素直に隣に座った。

(なんか悪いことしたな…)

チャニョルは女の子に僅かな罪悪感を覚えつつ、頂いたおにぎりをぱくりと一口含んだ。

「うっま！！」
「そう、ですか？」
「うん！めちゃくちゃうまい！」

空腹だったから。というのもあるがチャニョルにはとっても美味しく感じたおにぎり。がつがつと頬張るチャニョルに、女の子はほっと息を吐く。

「ありがとうございます。」

にこっと笑う彼女に、チャニョルはごくんと唾を呑みこんだ。

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