㉖貴方side ページ26
私はわけも分からないまま、床にしゃがみ込んだ。
瑞希「体調悪かったのか、保健室行こう」
「へ、平気…このくらい」
瑞希「何言ってんの、立てる?」
この人は思いの外優しくて、こんな私にも優しくて
近くにいると…安心した。
天野くんの香水の匂いも慣れて
男の子らしいその手も、やけに派手な色のカーディガンも
明るい髪色もみんなに好かれる綺麗な顔と低めな声
全部を今私が…独り占めしてるんだ。
「天野…くん…」
瑞希「ん?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈トクン…
天野くんは私を保健室に運んでくれた。
あいにく放課後に先生が居なくて貧血の為担任から、しばらく寝てから帰るようにと言われた。
「ごめんなさい、迷惑かけて」
瑞希「別に?どうせ帰っても文哉達とゲームしてただけだし」
「でも…」
瑞希「なに?俺が助けたのに不満?」
そんなんじゃないのに、わざと意地悪言う。
ほんとに…ムカつく
ムカつくけれど、そばにいてくれて嬉しい。
「私、寝るから…暗くなる前に帰ってください」
瑞希「ハイハイ、でもちゃんと本音で言い返したのは偉かったんじゃない?」
「…私、なんにもないの」
空っぽでちっぽけで、ただ受験失敗して
ここでも上手くいかなくて…
瑞希「ははっ、瀬田さんが何も無いなら俺はどーなんの笑」
「何も無くないわ」
天野くんは、明るくてキラキラしたものでいっぱい
ただの陽キャイケイケ野郎だと思っていたけれど…
人は見かけによらない。
「貴方は何も無くない。少なくとも私にとっては…」
それを言うと、睡魔が襲い
私はゆっくりと目を閉じた。
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天星(プロフ) - この作品好きです!更新頑張ってください! (2021年12月23日 19時) (レス) id: 5fed499b84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セピ | 作成日時:2021年12月21日 21時