22. ページ22
.
「紫耀くんはさすがだなぁ。優太だったら絶対自分で出せって言うもん」
「岸くんはケチやからな」
電車に乗り込みながらそんな話をする。
ちょうど二人分の席が空いていたから、私と紫耀くんでそこに腰掛けた。
「昔ね、幼稚園の時だったかな？私が優太の家の冷蔵庫にあったプリンを勝手に食べたことがあったんだけど、優太泣きながら俺のプリンどこ！？って騒いで。私が食べちゃったって言ったら、私の家にズカズカ入って、私が大好きなバニラアイスを食べたの！もうそこから大ゲンカ(笑)多分あれが今までで一番くだらないケンカだったな〜」
「へえ〜。2人とも可愛ええな(笑)」
「でもね、私がお母さんに怒られたり、学校で上手くいかないことがあって落ち込んだりしてる時は必ず、優太がミルクティーとバニラアイスを買ってくれるんだよね。そのときだけだよ。優太がケチじゃないのは(笑)」
「そうなんや(笑)」
その後もずっと2人で色んな話をした。
こうやって、紫耀くんと2人だけでゆっくり話すのは初めてで、自分がまだまだ紫耀くんのことを全然知らないことに改めて気づいた。
もっと知りたい。
同時に欲張りになる自分にも気づいていた。
トントンと、紫耀くんに優しく頭を叩かれる。
「…ん？」
「もうすぐ着くで」
至近距離に紫耀くんの顔があって、ビックリした私は「ひぇっ」と変な声を出してしまった。
どうやら私は、いつの間にか紫耀くんの肩にもたれかかって寝てしまっていたらしい。
「ごめんなさい…」
「ふふ。気持ちよさそうに寝てたな？」
「えぇ…。寝顔見たの…？」
「バッチリ」
「もうやだぁ〜」
「ハハハ(笑)いつもの仕返しや」
"いつも"というのは授業中のことだろう。
「べ、別にいつも見てるわけじゃないもん！」
「ふーん？じゃあ、たまには見てるんやな？」
ニヤッと意地悪な顔で笑う紫耀くん。
私が「バカ！」と、紫耀くんの腕を軽く叩くと、紫耀くんは、「いてっ！」と大げさに痛がってみせた。
そこに、ちょうど駅に着くアナウンスが流れた。
「ほら、降りるよ」
紫耀くんの手が私の手を引いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 516人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
由良(プロフ) - 早く続きが見たいです！少し汗ばむ季節になり体調の変化が激しくなりますがお身体に気をつけてくださいね更新楽しみにしています (2018年6月14日 21時) (
レス) id: 3c3c648279 (このIDを非表示/違反報告)
優美(プロフ) - 紫音さん» 紫音さんコメントありがとうございます。温かいお言葉ありがとうございます！素敵な作品になるよう頑張ります！ (2017年5月19日 21時) (レス) id: 9785910bbc (このIDを非表示/違反報告)
優美(プロフ) - 紫友さん» 紫友さんコメントありがとうございます。あそこは物語の中の一つのキーワードとなる場面なので、そう言って頂けて嬉しいです(*´ω｀*) (2017年5月19日 21時) (レス) id: 9785910bbc (このIDを非表示/違反報告)
優美(プロフ) - ピナパルさん» ピナパルさんコメントありがとうございます。これからも楽しんでもらえるよう頑張りますね！ (2017年5月19日 21時) (レス) id: 9785910bbc (このIDを非表示/違反報告)
紫音 - この作品好きです！面白くて、続きが気になります！！楽しみにしてますね！ (2017年5月18日 22時) (レス) id: 5512444c65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：優美 | 作成日時：2017年5月12日 1時
