藤崎慧と深瀬彩織

また苦しみ。 ページ26

「せーの！」



・・・。

「あ・・・。」

「よっしゃーーーー!!!!」
「やったーーーー!!!!」

なんとまぁ、あっけなく戻ってしまいました。

ってなりゃいいんだけど。

実際は。

「ダメでしたね。」

「ダメだね。」

「どーしたらもどるんだよーーーー!!!!彩織ちゃんが苦しんでるんだよーーーー!!!!なんで俺じゃないんだよーーーー!!!!」

「深瀬・・・。」

深瀬も深瀬なりに苦しんでいたのだ。

本来なら自分が苦しむはずなのに。

自分じゃない誰かが苦しんでいる。

深瀬にとっては悔しくて苦しくて。

私は深瀬の苦しみを少しでも拭いたくってある約束をした。

「頑張ろう。」

「えっ？」

「お互いの人生のこと。」

「・・・うん。」

「約束だよ？」

こうして、改めて自分の、お互いの人生の約束をした。

でも、この約束を自分から破ろうとしていた。

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