【H×H】世界はいつも無感情 2 (ページ6)

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53.日常ページ6

次の日もAは多忙で仕事に追われていた。

オフィスに鳴り響く副会長宛の電話の対応だったり、
スケジュールに何とか休暇を取り入れる事が出来ないものかと調整を繰り返したりと
兎にも角にも忙しいのである。

今も膨大な書類を抱えて副会長室に向かう途中だが、仕事用の携帯がズボンの中で震えている。

「はい、副会長秘書のAですが」

「おうAか！」

書類の束を抱え直しながらいつも通りに電話に出ると向こう側から聞こえてきた声は思いの外低く野太い声だった。

「・・・今日はどういったご用件で」

「オレが主催するパーティーに今回も参加してくれとアイツに伝えてくれねーか？詳細は後日な」

「成る程、かしこまりました」

「お前も来いよ！」

それだけ言ってブツリと電話が切れる。

相変わらず自己中心的な人だ。

画面が真っ暗になった携帯を再びズボンの中に戻すとAは副会長室へと急いだ。

「失礼します」

二回ほどノックしてから部屋へと入る。

するとパリストンもまたAと同様に、電話の対応をしているところだった。

電話機のコードを片手で弄りながら面白くなさそうにはい、はいと返事を返している。

(パーティーの件は後で言おう)

Aは彼の邪魔にならないようにテーブルの端の方へ書類を置くと扉へと踵を返した。

が、しかしそこでパリストンがじっと此方を見つめたまま先程コードを弄っていた手で手招きをしている事に気が付いた。

「どうされたんですか」

「実は最近協専が多くて協会の仕事が無くなってるんですよ。何とか良い話になりませんかね？」

パリストンの顔は先程とはうってかわって凛々と輝いている。

このままこの言葉を素直に受け止めれば、協専が多くて協会の仕事が無い=お金が無い。
だからどうにかして協会にお金を入れる方法はないのか。

という良い話になるのだが、
そんな良心的な頼みではないことをAは既に分かっていた。

「はあ・・・貸してください」

パリストンは大人しくAに受話器を渡すと席を譲る。

「お電話かわりまして副会長秘書のAと申します」