【H×H】世界はいつも無感情 2 (ページ22)

今日:4 hit、昨日:7 hit、合計:24,616 hit

69.密閉ページ22

右も左もハンター協会で働く社員達ばかりの室内に入り、ある一角にある資料だらけの部屋に足を踏み入れる。

掃除さえまともにされていないのだろうその部屋は疫病神をも宿しているような雰囲気を醸し出していた。

Aはそのごみごみしさに口を押さえながら必要な資料の上についた埃を落としていく。

「うーん、このくらいかなぁ」

明らかにネテロの趣味としか思えないようなものも複数あったが、
何とか必要な分だけ集める事が出来たAは一刻も早くこのごみ屋敷から出ようとした。

(ちゃんと、掃除してもらうように言っておこう・・・)

・

・

・

・

チン、というありきたりな音をたてて閉まる協会のエレベーターは狭くもなく、かといって広くもない。

三人ほど乗ればまぁちょうどいいだろうといった程度の広さである。

そして、今がまさにその“ちょうどいい”であった。

Aの目の前には白髪のがたいのいい男性と黒髪のすっきりした体型の男性二人が並んでいる。
しかし見知らぬ人が来るのはいつもの事だ。

きっと誰かが呼んだハンターだろうと思ったAは資料の束を抱え直しながら副会長室のフロアに着くのをいつものように静かに待っていた。

ガタン！

「！」

「「！」」

すると突然、嫌な音をたてそのままエレベーターが止まってしまった。

(珍しい。故障なんて)

「おいおい、このエレベーター止まったぞ」

「全く・・・ここの整備はどうなってるんでしょうかね」

Aは勿論のこと、しかし前の二人も全く動じずにハンター協会の点検や設計に文句をつけているようだ。

白髪の男はわしわしと困ったように頭を掻くとエレベーターのボタンの一番上についている緊急用のボタンを押した。

そして此方を振り向く。

「あー、お嬢ちゃん。見ての通りエレベーターが止まったんだが今から誰かが来る筈だ。もう少し待っていてくれ」

「あ、はい・・・」

黒のサングラスのようなものをかけていて表情はよく読み取れないが
その声にAは申し訳なさそうなものを感じた。

(見たことないけど・・・ネテロさんの知り合いかな)

Aがそう推測したのは彼らが押したボタンにあった。

彼らの押したボタンは副会長室より上の階、ネテロの会長室フロアだ。
つまりこの二人はネテロの客人なのである。