66.早朝 ページ19
朝日が射し込むと同時にAは目を覚ました。
ゆっくりと起き上がれば身体にはホテル特有の香りが染み込んで何とも言えない気分だ。
「あ、おはようございますAさん」
「・・・おはようございます。早いですね」
「あはは、昨夜早く寝ろって言われたから早く起きちゃいました」
目の前で上機嫌に笑うパリストンは既に派手なスーツをピシッと着こなしている。
どうやら彼がカーテンを開け、そこから射し込んできた光で目を覚ましたようだ。
カーテンを開けなかったらあのままずっと寝ていたのかもしれないと思うとAはぞっとした。
直ぐにベッドから降り高速で身支度を済ませる。
(ネテロさんに絶対何か言われるな)
そんな事を考えながら
Aは急いでパリストンとホテルを出たのだった。
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「人使い荒いですよね」
「そうかなァ?」
―――飛行船は進む。
来た時と同じように乗り継いだ二人だったが、最後に乗る筈だった飛行船が故障したらしく乗れなかった。
次に来る時刻を見てもちょうどいい時刻の飛行船が無い為、
パリストンは急遽ハンター協会本部に電話し飛行船で迎えにくるよう言ったのだ。
「でも遅れるよりは良いと思いません?」
「まぁ・・・」
もっともである。
このまま遅れると今日のスケジュールを全てこなせないことはAもパリストンもよく分かっていた。
操縦室のソファーに座り会話をしているとようやく協会本部に着いたようだ。
ビルが建ち並ぶスワルダニシティの見慣れた景色が飛行船の真下に広がっていた。
「そろそろ着きますよ」という操縦士の声を合図にAは自分とパリストンの降りる準備をする。
その時、
ぐらり、とハンター試験に感じたえもいわれぬ目眩と、続いて痛みがAの頭を襲った。
「・・・ぅ、っ」
「Aさん!」
ハンター試験と同じように崩れ落ちるAに、ヒソカではなく今度はパリストンが慌てて駆け寄る。
「操縦士さん」
手で制止をかけるAを横抱きして操縦士に振り返る。
「はっ、はい!」
「もう着陸できそうですか」
操縦士がこくんと頷いたのを見てパリストンは安堵の溜め息をついた。
すると、弱々しい声が耳元で聞こえ顔をそちらへと向ける。
「副会長・・・私、歩けますからおろしてください」
「駄目。ボクが運びます」
その表情には固い決心のようなものが表れていてAは大人しく口をつぐむしかなかった。
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ろいど(プロフ) - もう更新されないのでしょうか? (2022年4月14日 23時) (レス) id: 5682104901 (このIDを非表示/違反報告)
0ne329011852w2n(プロフ) - 更新しないんですか? (2020年11月24日 1時) (レス) id: 50bc10663e (このIDを非表示/違反報告)
ジャムパン - 頑張ってください!応援します! (2015年9月11日 22時) (レス) id: 5d93158d32 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - とても面白かったです。更新頑張って下さいね(*^^*) (2014年11月9日 13時) (レス) id: 66e9ad3697 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうたん - パリストンの夢小説珍しいので、うれしいです!! (2014年8月14日 8時) (レス) id: 56d4ac886a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽりか | 作成日時:2014年3月16日 15時