【H×H】世界はいつも無感情 (ページ30)

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28.心境ページ30

「おやすみ」と言って欠伸をしながら寝に入るAを
横でトランプタワーをまた一段と積み重ねながら見届けたヒソカは静寂が広がるゴール地点でひとり静かに考えていた。

(Aのさっきの事も気になるけど、何より気になるのはボクの行動だ◆)

ヒソカの脳内には先程Aが倒れた時自分が戦闘をやめてまで駆け寄ったあの映像が
ぐるぐると流れている。

(一人の人に執着しないボクがねぇ◇)

また一枚と重ねようとした手を止めてトランプの表面を見る。

ジョーカーだ。

(死神があんなに人の心配をするかい？)

その奇妙な心境はヒソカ自身にも分からないものだった。

考えても出ない答えにうんうんと悩み、
出した答えが彼女に手を出してみようという迷惑極まりない答えだ。

体勢を崩してAに覆い被さるように壁に両手をつく。

その時だった。

ゴールの入り口からゴゴゴと音が聞こえてきたのである。

顔だけをそちらに向けるとそこにいたのは顔面に無数の針を刺しているビジネス仲間だった。

「・・・ヒソカお前なにやってんの」

「・・・」

嫌な音をたてて元の顔に戻るギタラクルことイルミはAと少し離れた場所にヒソカと腰をおろした。

「ちぇ、もう少しだったのに◆」

「何がもう少しだよ、馬鹿？」

「ボクだって事情があるのさ、ちょっと聞いてくれるかい◇」

イルミの都合も全くの無視でヒソカは喋り始めた。

「それ、恋じゃない？分からないけど」

話を聞き終わったイルミが呟いた。

バラバラとトランプタワーが崩れていく。

その予想外の言葉にヒソカは目をしばたかせた。

「恋？このボクが？」

「だから分からないって言ってるだろ。あくまでも可能性の一つだって事だよ」

イルミは顔をじっと見つめてくるヒソカからフイと視線をそらす。

イルミが聞いた話では必然的にそういう答えになってしまうのだ。

戦闘の対象として気に入っていた彼女を
殺す前に殺されてほしくないという思いで助けたのではなく、本当に心配して助けたこと。

そしてリベンジャーのAへの攻撃に苛立った心。

「まぁ仮に恋だとしてもヒソカの想いは届かないと思うけどね」

「辛辣だなぁ◆」

結局確信できる答えは出なかったが、

今はまだそれでもいいか、とヒソカは思ったのだった。

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パリストン落ちですよ。