【H×H】世界はいつも無感情 (ページ3)

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1.始動ページ3

「お前さんにはハンター協会副会長の秘書とハンター協会の護衛をやってもらいたいんだがの」

「は？」

そのネテロの言葉で全てが始まったのだった。

黒髪を忙しくなびかせながらネテロの後ろをついていくAの表情はかたい。
何せつい昨日副会長の秘書になれと言われたばかりなのだ。

誰だって急に言われれば頭の整理もつかない話だろう。

Aは目の前の自分勝手な育ての親の背中を青い目で見つめながら問うた。

「ネテロさん、そんなに急ぐ必要ってあるの？急に言い出すのはもう慣れたけど」

いつもはもう少し余裕があるのに、と続けられた言葉にネテロは申し訳なさそうに眉尻を下げる。

「すまんのA、言い出したのはワシじゃが今回は上の方からの命令で日時が決まったんじゃ」

「そ・・・まぁいいや」

上の方からの命令なら仕方ないかと肩を落とす。

実際は秘書よりも護衛という仕事が何なのか気になっていたが聞いたところでどうにもならないだろうと思ったAはあえて聞かなかった。

そうして数分歩いていればどうやら副会長の自室についたらしい。

扉の前で足を止めたネテロはコンコンと二回ほどノックする。

「パリストン、入るぞ」

「あ、会長。すみません、ボクとしたことがまともにお出迎えも出来ないなんて」

同時にガチャリと開かれた扉の向こう側から顔を出したのは垂れ目で胡散臭い笑顔が印象的な男性、パリストン=ヒルだった。

彼の噂はスワルダニシティ周辺に住めばよく聞くのだが何故だろう。

いい話を全く聞かない。

彼とパチンと目が合う。

これは厄介な人の秘書になってしまったとAは思ったが彼の手前失礼のないように振る舞わなければならない。

そういう事も幼い頃からネテロにしっかりと教えられてきたAは
パリストンに向き合い深々と頭を下げた。

「今日から副会長の秘書とハンター協会護衛を任されたAです。この仕事は初めてなので副会長には迷惑をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」

「堅苦しい挨拶は止めましょうよ！今日から他人では無いんです、二人でこのハンター協会を良いものにしていきましょうね！」

「はあ・・・」

予想以上に騒がしいパリストンにAは無意識のうちに一歩さがってしまったが
手をがっしりと握られ目の前にはニコニコとするパリストン。

Aに逃げ道はない。

その横でネテロはただ面白そうに笑っていたのだった。