【H×H】世界はいつも無感情 (ページ11)

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9.湿原ページ11

「仲間を助けにきたのかい？いいコだね～◆」

もう着いたらしい。

血まみれの人間が所々転がっている泥沼を走り続けているとかなり興奮したような声がAの耳に入った。

なるべく絶で気配を消しながら近くの木に登り木の上から傍観していると
目の前では緑色の服装に身を包んだ小さい少年がピエロの男に首を掴まれている。

(・・・まぁ殺されはしないだろうけど)

ああいう人間はよく、少々無神経な言い方だが将来性を感じる人材を殺さず生かしておく人間が多いのだ。

直感だがAはあの少年なら殺されないだろうと思った。

「おや？木の上にいるキミは誰だい？」

(げっ、まじか。絶してたのに見つかったよ)

不意に声がかけられる。

なるべく気配を消したつもりだったがあっさりと見つけられてしまったことにAは少し絶の自信を無くしたのだった。

(うーんどうしよう、戦うしかないかな)

「こっちから行くよ誰かさん◆」

しかし予想とは裏腹にピエロは少年を解放し殺気の一つも出さず誰かを担いでこつこつと向かってくるだけである。

敵意があれば殺気は少なからず出るはずだ。

Aは不思議に思って絶を解き肩掛けのバッグが引っ掛からないよう手に持ちながら軽々と木の上からとび降りた。

「・・・殺らないの？」

「やっと出てきてくれた◇」

「出てきてくれたってねぇ、ほぼ強制でしょ」

そう言えばピエロはにっこりと笑った。

その笑顔に何か悪寒を感じたAは逃げるように少年の所へ駆け寄る。

あの気持ち悪い人間に殺されかけて怖くなかったはずがない。

「キミ大丈夫？歩ける？」

「え？あ、う、うん」

Aはほっと溜め息をつくと少年に自分に着いてくるよう施した。

「ちょっと待った◇」

が、それまで一部始終を傍観していたピエロから声がかかる。

「何？初対面のピエロさん」

「ボクはヒソカだよ、それよりキミはボクに着いてきてくれないかい？」

「なんで」

「右腕◇」

「？」

成立しない会話に顔をしかめれば彼が自分の右腕に指を指す。

何事かとAがちらりと右腕を見るとそこにはピンク色をしたガムのようなものが引っ付いている。

取ろうにも取れないところをみるとどうやら念のようだ。

「・・・分かったよ着いてく」

「決まりだね◇」

「キミ、一人で次の試験場まで行ける？」

こくん、と頷いた少年を見た後
Aはヒソカに不本意ながら着いていったのだった。