検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:3,580 hit

ページ3






太陽は暑苦しい笑顔を見せるのに、
バス車内は太陽から隠れているのかと思うほど真っ暗だった。

後部座席、右の窓際の席が俺の特等席だ。
そこが一番、俺にとって状況を把握しやすかった。

昼間だと言うのに割に人がいて、
中には学生らしき見た目の乗客もいた。

バスは次の駅に向かって、
ゆっくりと舗装された道を走る。

俺に目的地はない。
人がいなくなったら適当に降りようと思っていた。

徐々に乗客は減っていき、
最後のバス停までの時点で、
俺を含めて二人しか乗っていなかった。

バスは最終地点まで数メートルで、
少しずつスピードを落として、
俺たちを降ろす準備を始めた。

やがて空気が抜けるような声を出して、
バスは白線ぴったりで止まった。

最後尾に座っていた俺は、
左側の座席に手を滑らせながら、
慎重に乗降口に向かう。

バスの通路は細い。
大人一人が通るのにやっとだ。
そんな場所で躓いたら危ない。

慎重に歩いていたつもりだが、
俺は右側にあった段差に気づかずに、
足をとられてしまった。

俺の体はスローモーションかのように前へ傾く。
人間は何故こういうときに、動きが遅く感じるのだろうか。

ゆっくりと時が流れ、
通路に手をつこうと手を開く。

だがその手は、通路につくことはなかった。



「大丈夫ですか?」



細身の体格とは反対に、
前方の席に座っていた乗客が俺の体を支えた。

通路側に座った彼のとなりには、
黒いギターケースが置かれていた。



「すみません。大丈夫です」



俺は彼の腕から体を離すと、
さっきよりも慎重に歩いた。

・→←星空バス



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
52人がお気に入り
設定タグ:Hey!Say!JUMP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

青空と虹(プロフ) - はじめまして。作品、読ませていただきました。まだ途中ですが、とても素敵なお話が待っているんだろうな、とワクワクが止まりません。更新、楽しみに待っています! (2018年4月5日 8時) (レス) id: 3acfcf4b67 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:茸* | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年11月15日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。