−２メートル ページ17
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「あかーしくん、いい子だよね」
あかーしくんのポーカーフェイスが剥がれ落ちて、頭にハテナが浮かぶ。
思わず吹き出してしまった。
「いやだって、木兎のこと考えてそうしてくれたんでしょ？ありがとう」
「い、いえそんな」
「いいの、どういたしまして、で」
不意を突いて、ついでにカフェオレのボタンを押した。
あっ、とあかーしくんが声をあげる。
「それ、おいしいですか？」
観念したように、手の中のカフェオレを見るあかーしくん。
「⋯⋯う、ん。おいしいよ」
ここで正直に答えたら「飲みたいものを買わせてください」と食い下がってくることは目に見えていたから、ごまかしておく。
「そういえば、なんですが」
「⋯⋯うん？」
「”Aさん”って下の名前ですよね」
「あ、うん」
「木兎さんのことは名字呼びなんですか？」
――げ。
「うん⋯⋯そうだよ」
「名前では呼ばないんですか？」
「木兎、なんか言ってた？」
「⋯⋯いいえ？」
あかーしくんは大人びた微笑を浮かべ、私を見る。
「木兎さんは喜びそうだなあと」
これは確信犯だ。
「何しろ木兎さんは、Aさんが大好きですから」
「やっぱり何か言われたでしょ」
「少し気になっただけです」
そんなわけがないと思うのだが。
「⋯⋯そういえばあかーしくんは、私のことずっと下の名前呼びだよね」
「はい、木兎さんに紹介された時点で”Aさん”でした」
「私も『あかーし』って紹介されたからなあ。どういう字？」
「”アカ”は色の赤⋯⋯、紅白じゃないほうで、”アシ”は植物の葦です」
「そっか。これからも”あかーしくん”でいい？」
「ええ。今更ですが俺は名字呼びに変えましょうか？」
「ううん、今まで通りでいい」
じゃあ、この辺で。
どちらからともなく手を振り、別れる。
そういえばまたカフェオレを買ってしまった。
ペットボトルの蓋を開けると、甘ったるい匂いが鼻をついた。
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ティラミルク(プロフ) - おこめさん» 返信が遅くなり申し訳ありません。夏目漱石のこころ、いいですよね(*'▽')読破済みの方と出会えてうれしいです！二回も高評価を……何とも嬉しいお言葉！かっこかわいい木兎さんをお届けできたようでなによりです。コメントありがとうございました。 (2020年6月26日 23時) (
レス) id: 5de232f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - 本当にいい作品です!!夏目漱石のこころ、私も読んだことあります!!あああああああああもう木兎さんがカッコよすぎます！それでいて可愛いです。つい勢いで1番いい評価2回も押してしまいました笑 (2020年5月19日 9時) (レス) id: 4a878294b2 (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 百合郷さん» コメントありがとうございます(*^^*)こんなにお褒め頂けるなんて恐縮です！少し先の話になってしまいますが、そのうち番外編を追加する予定なので、よろしければその時も見て頂けると嬉しいです(*'▽')木兎さんのキャラがつかめていたようで良かったです(笑) (2019年12月16日 18時) (レス) id: edef360b1e (このIDを非表示/違反報告)
百合郷(プロフ) - 完結、お疲れ様でした！遅ればせながらも、最終話まで拝読させていただきました。題名と内容がとても考えられたもので、木兎さんの台詞が本当にそれっぽいなぁと、楽しませてもらいました。素敵な作品をありがとうございました！ (2019年12月15日 23時) (レス) id: 5fdd484f6d (このIDを非表示/違反報告)
ティラミルク(プロフ) - 優麻さん» かっこいい木兎さんを感じていただけて良かったです！ありがとうございます！ (2019年11月20日 22時) (レス) id: 9b0bde0b73 (このIDを非表示/違反報告)
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