45話 ページ11
目の前の少女が言うには、身寄りのない自分をクロウリーが引き取り、暫くの間ここで生活するために案内をしていたらしい。
にわかに信じ難い話だが、嘘をついている素振りもない。
疑念は残るが、問い詰めて騒ぎを起こされる方が面倒だ。もっとも、大騒ぎするような奴には見えないが…
ふと目を向けると、細い髪を結っていたであろう黄緑色のリボンが緩んでいた。リボンの色を見ていると、何故かあの気取ったトカゲ野郎を思い出してしまう。
解けかかったリボンに気付いた少女は困ったように眉を下げる。
『枝に引っかかったのかしら。どうしよう、頂いたものなのに…』
ﾚｵﾅ｢結べるか？｣
少女はするりとリボンを解き結び直そうとするも、上手くいかなかったようで、頭を横に振った。
解れた糸を見つめ、落ち込んでいる。余程大事なものだったらしい。
なんだかバツが悪いと思った時、俺の髪が視界の端で揺れるのに目が行き、三つ編みの束から黄色いゴムを外した。
ﾚｵﾅ｢とりあえずこれで結っとけ｣
『…よろしいのですか？』
ﾚｵﾅ｢気にすんな。元はと言えば俺が引っ張ったせいでなったことだ｣
差し出したヘアゴムを見て少女は目を丸くし、小さな手で受け取る。
『ありがとうございます』
控えめに微笑んだ少女に、つられて口元が緩んだ。
さっきの様に、とくん…と鼓動が早まっていくのを感じる。
それから少しの間お互い話はせずに、近くの植物や景色を眺めていた。
あぁ、そういえばこいつの名前を聞いていなかった。俺が一声かければ、花に添えた手を握り、こちらを振り向く少女。
ﾚｵﾅ｢お前、名前は＿＿＿｣
｢お待たせしてすみません〜！｣
『クロウリーさん…！』
すると植物園の入口からクロウリーが現れ、真っ直ぐ少女の元へ向かっていった。どうやらクロウリーに案内されていたという話は本当だったらしい。
周りの茂みや木々の死角にいたからか、俺の姿は見えていないようだった。丁度いい、授業をサボっているのがバレて、面倒な説教やお小言を言われないで済む。
そんな俺の意を察してか少女は小さく会釈すると、クロウリーの後に続いて植物園から去って行った。
姿が見えなくなり、広い植物園には俺一人だけが残る。
やっと静かになった。少女と目が合ってから今の今まで、絶えず波打って伝わっていた鼓動が落ち着いてくる。
でも何故だ…
あの少女の微笑みが、頭から離れない＿＿＿
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ゆう - 続き気になります〜！5章ようやく読み終わってマレウスが気になってこの小説にたどり着きました！更新頑張って下さい！ (9月11日 7時) (
レス) id: ee0702bc5c (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (7月9日 7時) (レス) id: df55bc0165 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん - 初コメ失礼します！とても面白かったです！もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています！(*´ω｀*) (2022年9月16日 20時) (レス) @page10 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもちち(プロフ) - 初コメ失礼します💦この物語すっごくいいです！続き楽しみしてます!!!作者様のペースでいいので更新頑張ってください！応援してます🔥 (2021年9月25日 18時) (レス) id: 37a91e5a3f (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - 続き待ってます！すごく面白かったです！ (2021年5月9日 20時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：毘張 | 作成日時：2020年9月21日 21時
