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6話 ページ10

カチ…コチ……








ユウ「……」



〈眠りの間〉の掃除を始めてから1時間ほどが経った頃、大方の掃除を終え、ガラス張りのテーブルを拭いていたユウがふと顔を上げる。



エース「ん?どうかしたのか?」



ユウの視線の先を追うように、エース達もつられて顔を上げた。



見上げた先に、壁掛けの古い振り子時計がある。



時計は振り子を振って弱々しく時を刻んでいた。



数秒見つめユウが呟く。



ユウ「いや、あの時計…今と同じ時間だなと思って」


エース「あー…確かに」



振り子時計の針は、ユウの腕時計の針と同じ位置を示している。



日没まではあと30分くらいの余裕がある。



バラの色塗りやこれまでの授業の成果か、エーデュースコンビの魔法とグリムの連携で、雪のように積もっていた埃は綺麗に拭き取られていた。



本来の輝きを取り戻した家具はどれも高価なものらしく、天井を彩るフローライトが眠りの間をより豪華に
彩っていた。



他愛もない話をしながらも拭き掃除をしていると、部屋の端にまだ拭かれていないものがあることにエースが気付く。



エース「なぁ、これなんの箱?」


ユウ「え?なになに」


デュース「白い……棺?」



それはこの部屋の中でも1番大きく、一際目を引く美しい装飾が施された白い棺。



ちょうど、エースたちが入学する際に入っていた棺と同じ大きさだ。



3人が覗き込む。



ユウ「うわぁ…綺麗だね」


デュース「こんな細かな細工…余程価値のある芸術品なんじゃないか?」



2人が見とれていると、少し後ろで見ていたエースがニヤニヤしながら言う。



エース「中に人が入ってたりして!」


ユウ「ちょっ!急に怖いこと言わないでよ…!」


エース「なんだよ、入ってる訳ないじゃん。
てか、本当に人が入ってたら今頃匂いで俺たち泡吹いてるだろ」


ユウ「…まぁ、確かに。でも気になるな、何が入ってるんだろう?」


グリム「俺様わかっちゃったんだゾ!」


「「えっ?」」


ユウ「なに?何が入ってるの?」


グリム「普段人が立ち入れないところで、こんな棺に隠すものなんてひとつしかないんだゾ」



ゴクリ、とユウとエースは息を飲む。






グリム「ずばり!“超高級ツナ缶”なんだゾ!!」






ヒュー……と、冷たい風邪が流れる。



ユウ「さ、早いとこ片付けよう」


エース「日が暮れると学園長に文句言われるし」


デュース「そうだな」


グリム「ふなぁっ!??」

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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス  - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時

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