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4話 ページ7

同時刻______IN ディアソムニア寮






NRCから離れたところ、薄暗くどこかダークさを感じる空間の中にディアソムニア寮はある。



ディアソムニア寮とは、グレート・セブンの1人である茨の魔女の高尚な精神に基づく寮のことであり、魔術全般に秀でた生徒が住んでいた。









「若様ぁーーーー!!」









談話室から、男の大きな声が響いた。



声の主は…セベク・ジグボルト。
今年度からディアソムニア寮に入寮した1年生だ。



隣には子供のような背丈の生徒が「ここにもおらんのか…」と小さくため息をついていた。



セベク「若様ー!どちらにおいでですかー?」



彼の声は一際大きく、誰かを探しているようだ。



リリア「シルバー、マレウスを見なかったかの?」



老人口調の少年…(?)リリア・ヴァンルージュは、ちょうど談話室にやってきた銀髪の寮生に話しかける。



シルバーと呼ばれた寮生は、リリアの問いに対して首を横に振った。



シルバー「数十分前にマレウス様と寮の庭先でお会いしてからは見ていませんが…」



それを聞いたリリアは、何かを思いついたように顎に手を添えて考える。



数秒して、ハッとしたように顔を上げた。



リリア「セベクや、今日は何日だったかのぅ?」


セベク「はい、今日は12日です!」


リリア「12日……そうか、今日(・・)じゃったな……」


シルバー「親父殿…?どういう____」



シルバーが問おうとしたその時、談話室の大きな窓がピカッと光る。



シルバーは話すのをやめ、窓の外に目線を向ける。
先程よりも空が暗くなったようにも見えた。



きっかり1秒遅れでゴロゴロと唸るような雷音が、重たい曇り空に2、3回続けて鳴り響いた。



鳴り終わると同時に、ざあざあと激しく雨が降る。








まるで、誰かの涙のように………









リリア「2人とも、今日はもう部屋に戻ろう」


セベク「えっ、よろしいのですか?」


リリア「よいのじゃ」


シルバー「では親父殿、お先に失礼します」



リリアの指示通り動くシルバーと渋々部屋へと向かうセベクが出ていき、広い談話室にはリリア1人だけになった。



雨粒で歪む景色の向こうでは、今も雷が降り掛かっていた。









リリア「______あやつが、泣いておる」









彼の小さな呟きは、降り止まない雨音に掻き消された。

5話→←◇在りし日の記憶



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Rin(プロフ) - 続きが楽しみです 更新頑張って下さい (2023年4月20日 2時) (レス) id: a3128229fd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(元あやりん) - 若様ァァァ!若様と誓いしていたなんて。おっし若様、アタシと結婚しまs((若様好きすぎて暴走してしまった。すk(((殴。すいません面白いですし、好きです (2021年10月22日 21時) (レス) @page21 id: afcb507146 (このIDを非表示/違反報告)
三月アリス  - めっちゃ好きです!マレウス様かわいい! (2020年9月7日 10時) (レス) id: 742f423e47 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 続き気になります。更新頑張ってください (2020年9月3日 17時) (レス) id: ba2a71100d (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - え?めっちゃ好きです!!更新楽しみに待ってます! (2020年8月20日 17時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:毘張 | 作成日時:2020年7月30日 1時

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