八日目 ページ10
太宰治side
女が出て行った後を追いかけ、窓の外を見るが、そこには既に彼女の姿は見えなかった。
私はナイフをベッドの上に放り投げ、そのまま寝室を後にする。
リビングへと足を踏み入れれば、机に置かれた一枚の写真が目に入る。
そこには、先程の女によく似た女性を真ん中に、笑顔の私と織田作が写っていた。
思わずその写真を手に取り、見詰める。
「……A…」
女性の名前を無意識に呟いた。
そうだ。先程ナイフを向けた彼女は、ポートマフィア時代、私と共によく任務に当たっていた島崎Aだ。そう云えばあの時はかなり仲良くしていた気がする。
では何故、私は彼女を忘れていたのだろうか。
そもそも、何故彼女は此処で寝ていたのだろうか。
寝食を共にする程仲が良い訳では無いはず、と考えれば、言葉にし難い何とも言えない違和感が込上げる。
「…Aは、私の…」
私の、何なのだろう。
写真を持つ手に力が入る。
この写真は、ずっとこの部屋に飾ってあった。
律儀に写真たてに入れる程には、大切にしていた写真だ。
それは何故だろう。
彼女が…Aが写っているから?
否、織田作が写っているからだろう。
懐かしい記憶だ。
「ふふ…君って誰だっけ。」
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夜透田 流(プロフ) - 鏡の国のアリスさん» ひぇ…神作品だなんて…シリアス好きの衝動書きには勿体ないお言葉……ありがとうございます…!! (2019年10月27日 16時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
鏡の国のアリス - 神作品に出会えた……!涙で滲んで画面が見えない事実ェ……(泣) (2019年10月27日 13時) (レス) id: 19bb89c399 (このIDを非表示/違反報告)
星矢(プロフ) - 太宰亜里沙さん» ありがとうございます!真逆、そこまで感動して下さるとは…作者も本作品も幸せ者ですね。最後まで読んでくださってありがとうございました!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - 素晴らしい作品です!出会えて幸せでした。最後涙が出てしまいました。感動をありがとうございます! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
星矢(プロフ) - g3r_hさん» えぇぇぇ!!めちゃくちゃ嬉しいです!!そんな、数少ない(であろう)コメントを貰えた上に惚れた、だなんて…めちゃくちゃ嬉しいです語彙力無いのが悔しいくらい嬉しいです…!ありがとうございます!頑張りますね! (2019年5月13日 22時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜透田 流 | 作成日時:2019年4月27日 20時