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四日目 ページ6

次の日、事件は起こった。





『っ…』





朝、首元にひんやりとした違和感を感じ、目を開けば、そこには私にナイフを向けた太宰くんがいた。






「君、何故ここで寝ているんだい。」

『な、何故って、あんたと同棲してるからで…』

「嘘をつくな。」





私が彼と同棲しているからだ、と述べれば、彼はナイフを私の首に押し当てた。
少しの痛みと共に、自身の血液が首を伝う。

彼の瞳は、汚物を見るような色をしていた。





「誰だい、君は。…私の知り合いに、君のような女性は居ないのだけれど。」

『…太宰くん、』

「何故私の名前を知っている。答えないのならば…このまま首を掻っ切っても良いのだよ。」





私の首に当てたナイフに、彼はさらに力を込める。

私は彼から視線を外さぬまま、ベッドの端に手を伸ばした。
未だ、「誰だ。」と問う彼に、一言叫ぶ。





『自分の頭で考えろ、太宰!!』





いきなり叫んだ私の剣幕に驚いたのか、一瞬固まった彼。
その一瞬の隙をつき、ベッド横にあったスマホを手に、すぐ側の窓枠に手をかける。

私のこの後の行動を瞬時に予想した彼は、少しだけ焦ったような顔をする。
そんな彼を後目に、私はそのまま飛び降りた。





「っちょっと、君!!」






後ろから、少々切羽詰ったような声色の太宰くんの声が聞こえる。

私はその声を無視して、スマホの電話帳を開く。
探すのは帽子を被った小さな彼の番号だ。





『…あった。』





漸く見つけた彼の電話番号をタップして、電話をかける。

2コール程待った所で、少し眠そうな声が聞こえた。





…「A…?こんな朝にどうした…」

『ごめん、寝てた?』

…「寝てた…」

『マジごめん。』

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夜透田 流(プロフ) - 鏡の国のアリスさん» ひぇ…神作品だなんて…シリアス好きの衝動書きには勿体ないお言葉……ありがとうございます…!! (2019年10月27日 16時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
鏡の国のアリス - 神作品に出会えた……!涙で滲んで画面が見えない事実ェ……(泣) (2019年10月27日 13時) (レス) id: 19bb89c399 (このIDを非表示/違反報告)
星矢(プロフ) - 太宰亜里沙さん» ありがとうございます!真逆、そこまで感動して下さるとは…作者も本作品も幸せ者ですね。最後まで読んでくださってありがとうございました!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)
太宰亜里沙(プロフ) - 素晴らしい作品です!出会えて幸せでした。最後涙が出てしまいました。感動をありがとうございます! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 9865e50aa1 (このIDを非表示/違反報告)
星矢(プロフ) - g3r_hさん» えぇぇぇ!!めちゃくちゃ嬉しいです!!そんな、数少ない(であろう)コメントを貰えた上に惚れた、だなんて…めちゃくちゃ嬉しいです語彙力無いのが悔しいくらい嬉しいです…!ありがとうございます!頑張りますね! (2019年5月13日 22時) (レス) id: 787493054e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜透田 流 | 作成日時:2019年4月27日 20時

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