【w.r/wr/d.!】幹部？いいえそれ以下です 第一幕

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誰よりも早く会議室に着く。
理由は後から来たら、冷たい空間になるのが嫌だからだ。なら最初っから冷たい方がいいだろう。
しかも最近暑くなってきてるから、一石二鳥だろ？

……まぁそれが何の意味になるのかは別に興味はないが。


『暇だな』


皆が来るのは早くても三十分前。俺は一時間前。
今日やる事を確認しようと、インカムに手を当て連絡を入れる。

本当は幹部用でインカムを持っているのだが、連絡なんて取らない。ましてや出ない可能性もある。
そんなお飾りに等しいインカムなんて意味が無い。
今使っているインカムは、俺が担当している部隊の第一部隊長に連絡する用の。
……正直こっちのインカムの方が使い勝手がいいからな。


sp〈おはようございます。どうされました？〉

『おうおはよう、"スパルタクス"。今日やる事の確認をしたくてな』

sp〈少々お待ちください。 ……本日は特別変わった予定はございません。いつも通りで大丈夫かと〉

『ありがとう、後ほどそっちに向かう。皆に伝えておいてくれ』


スパルタクス。此奴は他の奴よりも剣の扱いが頭一個分違う。元々貧民育ちだったが、まだ小さい時に俺が引き取り城に連れて帰った。
するとどうだろう。すっかり逞しく育ってくれて……息子の成長が嬉しい母親みたいだな。

……と言うか何故こんなに秀でた彼が、自ら望んで俺のいる部隊に所属したいと望んだのか。

そう。元々は水の訓練を受けていた一番弟子だ。普通は鍛えてくれた水に対し、その部隊に入隊すると思っていたのだが、その入隊書の記載欄に俺の部隊の名前を書いたのだ。

何故書いたのかは今でも教えてくれない。この話はいつか詳しく聞いてみようか。


……とは言っても、いつも通りに過ごせばいいのか。
それすらも暇と思えるほど、刺激が無い。

ストレスか何か分からないが、長く伸びた爪を机に立てる。トン、トントン、と爪で音を立ててると、漸く一人来た。
そいつはチラリと横目で見て、そっぽを向いた。
目を合わせただけでも舌打ちしてくる奴とかいるから、そこまで傷付く事はないんだけれど。

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