【w.r/wr/d.!】幹部？いいえそれ以下です 第一幕

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『……何もねぇ』


時計台から街を見下ろして、事件か何か無いか探す。と言っても、毎日重大な事が起きてる訳では無いのでほぼ平和だ。


「あ、あの、A様……そんなに顔を出されると危ないかと……」

『ん？あぁ大丈夫大丈夫。心配すんなよ鐘撞きの兄ちゃん。じゃ、他の所行ってくるわ』


外に設置された階段を降り街を歩く。ここはいつもと変わらず栄えていて、売店もあるから見ていて飽きない。


「あーっ！かんぶの兄ちゃん、こんにちは！！」

『おーおー、元気いいなぁ』

「母ちゃんに「かんぶ？の人には元気よくあいさつしなさい」って言われたんだ！」


公園から声をかけてきた、六.七歳くらいの男の子。無性に可愛くて頭を撫でくり回すと、今度は双子の女の子が一緒に来た。


「「せーのっ…… お兄ちゃんこれあげる」」

『お？……花かんむりか！二人は器用だなぁ。兄ちゃん不器用だから何も作れねぇよ』


と、さっきの彼のように頭を撫でると、照れくさそうに笑い俺の頭にそれを置いた。

こんな平和な生活ができるのが嬉しかった。皆の笑顔を見る為にこの仕事を続けて良かったと、改めて思う。

公園を後にして、他の見回りを続ける。
子供達の親から「最近人攫いが現れるから、どうかしてくれ」と頼まれた。
頼まれてしまっては、助けない訳には行かないだろう。いつもはとっとと通り過ぎる路地裏を、徹底的に隅々まで見た。


『うーん……やっぱ居なさそうだよなぁ』


そろそろ見回りを終わらせないと、アイツらが怒る。その前に帰ろう。


……だが、その考えは無惨に散った。


硬いナニカで殴られ、しまいには体を痺れさせる始末。
遠のく意識の中微かに見えたのは、白い袖に変なお面を付けた誰かだった。

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