青天の霹靂【 sh 】 (ページ8)

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「え、てかお姉さんの名前は？」
「…………はい？」
「俺だけ知られてるの意味分かんないんですけど」
「………あー、えっと、」
「偽名とかナシね、それと名字は興味ないから名前だけ教えて」
「……Aです、」
「Aさん、何歳？」
「えっ」
「若そうだけど俺よりは歳上でしょ？社会人っぽいし」
「……２４、」
「１９、２０、２１、２２、２３、２４、あ、６個ね」
「……ちょいちょいちょい、」

なんだ、なんなんだ、何が起きてるんだ。失礼すぎやしないか。指で歳を数えて折り返しの小指を上げた瞬間、ニコリと微笑んだ。急になんなんだ、この男。傘の罪は重いってか。ブレザーの内側がチラッと見えた。視界に捉えた赤い校章、やはり３年生。正真正銘の６個下を痛感した。

「俺１８になったばっかっす」
「……あぁ、そうですか、」
「Aさん、よくこの車両乗ってますよね」
「……え、？」
「Aさんは最近俺に気づいたみたいだけど、」
「……えっと、あの、」
「俺は１年のときから知ってるよ」

耳を疑った。理解できなかった。どこか寂しそうにそんなことを言うから言葉が出てこなかった。終点までの約１２分がやけに長く感じた。

プシューッ

ドアが開き、いつものように周りの人を先に降ろしてから紫耀くんは降りて行く。その背中を見つめることしか出来なかった。１度もこちらを振り向くことなく、ただ前を進む紫耀くん。もう会えない気がした。

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