青天の霹靂【 sh 】 (ページ11)

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「紫耀くんこそ、こんなオバさん嫌なくせに」
「決めつけんなよ」
「だって、笑った。私が６個上って分かったとき、馬鹿にした」
「してねえよ！なんだ６個か、って安心したんだよあれは！」
「……嘘だ、」
「なんの証拠があんだよ、ふざけんな！」

どんどん口が悪くなって表情も強張っていく紫耀くん。冷め切ったココアが入ったカップがガタンと揺れた。こんな言い合いをする為に来たんじゃない。

……ただ、会いたかったんだよ。

紫耀くんに会いたかったんだよ。

「……会いたかったの、」
「……は？」
「……毎日毎日、紫耀くんを探してる自分が怖かった、」
「……………」
「高校生に恋なんて、犯罪だって、引かれて終わりだって、……だから遠くから見てるだけで幸せだった、」
「……んだよそれ、」
「それでもずっと紫耀くんに会いたかったんだよ」

ポロポロと流れてくる涙に紫耀くんは、何も言ってくれなかった。

ほらね、引いたでしょ。２４歳にもなって、高校生に惹かれてるんだもん。自分でも嫌になるよ。

立ったままの紫耀くんは静かに隣に座った。

「俺だって遠くから見てるだけで幸せだった、」
「……え、？」
「答案用紙が飛んでったとき、どうしようかと思った」

初めて会話をしたあの日だ。

「いつもウトウト寝てんのに、終点前になると必ず起きんの、Aさん」
「え、」
「俺が起こしてやろうって思うのに、話しかけるタイミングねえし、」
「そうだった、の？」
「周りの人が降りてから自分も降りてんの見て、……好きだなって思った」
「……それ、紫耀くんだって、」
「俺も気づいたらそうしてた」

初めて知る事実に胸が熱くなる。

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