青春ＬＡＮＤ4 (ページ29)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:46,741 hit

29 ページ29

冬が来た。
冬休みがある。
それに今までに興味がなかったあのイベント。

”クリスマス”

明後日がクリスマスイブだっていうのに、
約束さえしてなかった。
言わなくてもわかるだろうと思っていたから。
でも、よくよく考えてみればAがわかるわけないのに。

いつものようにバイト先まで行った。

店「内田くん、お疲れ。」

『お疲れさまです。』

店「もう冬休み？」

『明日から休みです。』

店「ホントにいいの？」

『え？何が？』

店「イブもクリスマスも菊池さん、バイト入ってくれるって言ってるから、それでシフト出したんだけど。」

やっぱり。
ちゃんと言っておくべきだった。
わかってるわけないよな。

『あー、しょうがないっすね。あいつがそう言ってるんならいいんじゃないですか。』

店「でも初めてのイベントでしょ？」

『そういうのうちらにはいいです。そんなんだと思ってたから。』

店「そっか。店としてはすっごい助かるんだけどね。みんな休みたがるからさ。」

『そうっすよね。』

それが普通だろうな。
みんなどっか行くんだろう。

店「もうすぐ菊池さん来ると思うから。」

『あざーす。』

ちょっと、いや、結構落ち込んだ。
でも俺が悪い。
ちゃんと言っておくべきだったって、今更後悔。

「お疲れ。」

寒そうにAが出て来た。

「超寒い。はい、あげる。」

手には肉まんを持っていて、それを俺にくれた。

『何で？』

「店長がくれた。わたしからじゃなくてごめんねー。」

『Aが食えばいいんじゃん。』

「わたし、あんまんの方が好きだから、あげる。」

『そう。じゃあ、もらっとく。』

ホントなのか、優しさなのか、
こういうとこがいいなって思う。
きっと外で待っていた俺に寒いだろうという事でくれたと思うから。