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名古屋への引っ越しは無事終わった。
駅近なのと、スーパーが近くにあることを条件に見つけたこのアパートを私たちの家にした。
約丸二日をかけて自分の部屋の荷ほどきを終えた私とは正反対に、物置状態になっている紫耀の部屋。
そろそろ見苦しいので、
強制的に片付けさせることにした。
『 紫耀〜このキャビネットどこにおくの？ 』
「 ここ！ 」
『 やだ！ここに置いてベッドはこっちでしょ 』
「 ああ！そっちのがいい？ 」
『 そっちがいい 』
「 おっけ〜！ってここ俺の部屋なんだけど 」
少々ワガママな性格の私には、何もこだわりがなくて、緩くて、少し抜けている紫耀と住むのは居心地が良かった。
しかし、部屋を探しに不動産屋へ行った際、
『 ベッドを別々にしたいので… 』 と言ったら「 え？！？ 」と大声を出されたのはまだ許していない。
『 あ〜… ちょっと休憩 』
ソファに横になると、大きな窓から温かい春風がそよいで、私の頬をかすめた。
東京に比べて少し物静かなこの街が、好きだ。
あっという間に夏は過ぎ、
地獄の就活戦争も無事終えて、春になる。
『 私、このままでいいのかなあ 』なんて言葉が
ぐるぐると頭を駆け巡ったりする時がある。
「 A、携帯鳴ってる 」
『 え〜誰から？ 』
「 妹ちゃん 」
『 取って！ 』
身体を起こし、
紫耀から携帯を受け取って耳に当てた。
『 もしもし 』
「 お姉ちゃん、わたし 」
妹だった。
なんだか声色が暗くて、心配になる。
『 どうした？ 』
「 彼女いる人好きになっちゃった。どうしよ〜 」
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作者名：留学生A | 作成日時：2019年5月29日 19時
