53 : ページ7
.
廉が私の側から居なくなって一年。
廉のこともそうだし、紫耀と私の距離が近すぎたのもあって「恋」とか「好き」とかそういう目では見れなかった。
でも、振っても喧嘩しても、
いつも側にいてくれたのは紫耀だった。
これは最近になって気付いたことだけれど、
気づいた時点で遅いも早いもないよね。
明るい髪の毛、長いまつげ、満月に照らされて青白く浮かび上がるすらりとした横顔。
ひとつひとつのパーツがこんなに綺麗で愛おしい。
いままで、彼をじっと見ることなんて一度も無かったんだ、私。
一人の男の人として接してみよう、そう思っただけで隣にいるのがひどく恥ずかしくなって、胸がどきついて。
『 … 紫耀、あのさ 』
「 ん？ 」
『 … これからも私の側にいてくれる？ 』
「 いるけど、なんで急に？ 」
『 あ、えーと … 』
突然距離感縮めるのは心臓に悪い。
それに、向こうも何の話か気付いていない。
『 こ、これから私との未来を考えてほしいっていうこと 』
「 えっ、付き合おうってこと？ 」
『 あ、まあ…そう…？ 』
「 … は〜 … 」
紫耀は全身の力が急に抜けたようにふらふらと仰向けでベッドに寝転んだ。
「 嬉しすぎる … あ〜ニヤける、見るな 」
両手で顔を抑えて恥ずかしそうにする彼。
「 待っててよかった 」
こんなに嬉しそうで幸せに満ちた紫耀の顔を見るのは初めてだった。
うん … これでよかったんだ。
「 じゃあ今日から恋人として。お願いします 」
『 ふふ、こちらこそお願いします 』
あぐらをかく紫耀の隣に、体操座りの私。
小さくお辞儀をして視線を合わせると、
思わず笑みがこぼれた。
その日は夜が開けるまでベッドに寝転びながら、他愛もない話をして笑ってはふざけた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：留学生A | 作成日時：2019年5月29日 19時
