シャイニング事務所の清掃員が帰って来た。またトラブルを連れて。【男主】 (ページ6)

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「一を聞いて十を知る」ページ6

「なら、彼女に会ってみてはどうでしょうか？お兄ちゃんはお母さんのところに行って、皆さんは私の指示で彼女のところに行く。それでどうでしょうか？」

「素晴らしいです。鈴は賢いんですね」

「へ？あっ、いや...たまたまです...」

鈴が顔を赤くした。

「よし！じゃあ、思い立ったらすぐ実行！鈴ちゃん、早く友達のところに連れてって！」

「はい！お兄ちゃん、お母さんに宜しくね」

「分かった」

サイド楠

バスと電車を乗り継ぎ、久々にやってきた我が家。

ぼくが生まれてから一回も引っ越したことがない四階建てのマンション。

その2階に楠家がある。

インターホンを押す。押した。

「母さん？いる？」

ドアが開いた。

「あぁ、幸輔。久しぶりネー」

「久しぶり、母さん。しばらく会わなんだけどカタカッだけの？」
(しばらく会わなかったけど、元気だった？)

「そりゃ、元気ザ。一回うちに寄っといてくれマと思もたけど、元気そうでよかったらネー」

「アンヤトー、母さん。これ、手土産。良かったら食べて」

僕は手土産を渡して、家の中へ入る。

やっぱり福井弁が出るなぁ...

「そういえば、鈴はどうしたネー？」

「鈴はウラの友人の案内しとる。でも、オーカタ来るよ」

やっぱり、実家は良い。

落ち着けるし、自然と笑顔が出る。

「こうして見ると幸輔、ずいぶん穏やかになったネー。数年前までは街を荒らす不良ザ」

「やめてよ母さん。それは恥ずかしい思い出だから」

「そうかな？」

「そうだよ」

そう。突然だけど僕は中学から高校にかけてめくちゃくちゃ遊んでた。

他校の男子とケンカしたり、髪染めてたり。ピアスもしてた。校則違反なんて三十は超えてたかな？

でも、こうして更生して今こうやって大学通ってるからね。素晴らしいね。

すべては、「アイツ」がいたからだけど...

「幸輔、なにボケーっとしてるネ？」

「あぁ、なんもないザ」

すると、携帯が鳴った。

「はい？...あれ？鈴？陰陽師見たかったの？」

『見つかったよ...でもね』

なにやら、深刻そうな声である。

「おおっ！見つかったの？良かったじゃん。で？でも？なに？」

鈴は続けた。

『それが、隣なの』

「え？...なんの？」

『...分かんない？実家の！今、お兄ちゃんがいる家の隣が陰陽師の家なの！』

「へ？...えぇ！？」

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