・ ページ18
.
「何か聞きたい事のある人はいる？ 特に何も無ければ読書を始めてくださいね」
と、先生はクラス全体に伝える。
先程朝のチャイムが鳴ったばかりで、挨拶と諸連絡を済ませた後は、大体20分くらいの読書時間に入る。
僕は相変わらず、バレない様に手元で作業を続けていたけれど、転校生の事が気になっていたので少し意識をそちらにも割いていた。
するとクラスメイトの一人が質問した。
「はいはーい、先生昨日のHRで転校生来るって言ってたけどまだ来てなくないですかー？？」
……まさか転校初日から遅刻するなんて事あるんだろうかと思いつつ、これで案外校内で迷子になっていたりしたらちょっと面白いななんて考える。
もし先生が��既に着いている筈だけど��辺りの事を言ったら、とりあえず小型ドローンを飛ばして校内を見て回ろうかな、なんてね
もし本当に迷子だったら、後はこっそり誘導するなり方法はあるからね
「それがさっき連絡があって、1限目には遅れるかもしれないんですって」
「え、そうなんすか？？」
「そうね〜急に決まった転校だし、本人もきっと色々あるのよね」
それならドローンは飛ばさないでいいかなと思い、僕は目線を手元に落として、作業を再開した。
他に何か聞きたい人はいる？？と先生は言っていたけれど、クラスメイトはそれ以外に気になっている事は特に無いみたいで、その後はそのまま読書の時間へと移った。
下の階から寧々の声らしき悲鳴が聞こえたのは、それから大体20分後くらいだった。
その後廊下を走る音と、階段を物凄い勢いで上がってくる音が聞こえる。
クラスがざわつく中、どんどんこちらへ近づいて来る足音。すると、どうやらその足音の主はこの教室のドアの前で止まったみたいだ。
ぜーはーぜーはーと息を整えているのが少しだけ聞こえてくる。
廊下と真逆の位置にいる僕の方にも聞こえたという事は、恐らくこのクラスの全員が聞こえていたのだろう。
先生は「もしかして……」と言って教室の外へ出た。
僕は一旦、手元で続けていた作業をやめる。
クラスの人達も、一人、また一人と、読んでいた本を閉じて、外で会話を始めたらしい先生と恐らく転校生の子であろうもう一人の誰かの声に耳を澄ませていた。
するとこんな言葉が聞こえてきた。
「……あ、あの、お恥ずかしながら私さっき一年生のフロアで迷子になってたんですけど……」
……まさか、本当に迷子になっていたなんてね
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星空 かるて(プロフ) - おしめじさん» コメントありがとうございます！いや本当めちゃくちゃ嬉しいです……4月に入ったので徐々に忙しくなりますが、なるべく更新出来たら良いなと思ってます！！ (2023年4月5日 16時) (
レス) id: ede496a435 (このIDを非表示/違反報告)
おしめじ - とても面白くて本当に大好きです！毎日更新してるかなー？ってわくわくしてます！！これからも頑張って下さい！応援してます〜！！ (2023年4月4日 23時) (レス) id: 3581385888 (このIDを非表示/違反報告)
星空 かるて(プロフ) - さふゆわさん» コメントありがとうございます！！中々お話の時間が進まなくて先の展開が頭の中でうずうずしてます！笑 頑張って更新していきます！ (2023年4月4日 10時) (レス) id: ede496a435 (このIDを非表示/違反報告)
さふゆわ - このお話とっても面白いのでお気に入りです！、これからも更新頑張って下さい！ (2023年4月4日 1時) (レス) @page39 id: cde793218e (このIDを非表示/違反報告)
星空 かるて(プロフ) - わわわ、初コメありがとうございます！！ 主人公ちゃんたまに闇属性してますよね……作者の好みでs(((これからも地道に書き綴っていきます！！ (2023年4月3日 16時) (レス) id: ede496a435 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星空 かると | 作成日時：2023年3月29日 2時
