鮮やかに【Atsuto.u】 (ページ10)

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篤人「もう行くの？」

練習の開始は11時から。

まだ8時。

「色々とあるみたいで…。」

篤人「んー…じゃあ送る。」

「大丈夫です！走って行くんで！」

そこそこ距離あるから。(笑)

篤人「いいや、俺ももう行く。ちょっと待ってて。」

「すいません…。」

ジャージに身を包んだAを玄関からリビングに引き戻して、ソファーに座らせる。

今日からAも練習に参加する。
お披露目の日となる。

各チームの加入選手が公開され、シャルケに日本人女性が加入することは全世界で話題となっている。

きっと今日は報道陣も多いことだろう。

篤人「よし、行くか。」

顔を洗って、歯を磨いて、ジャージに着替えたら支度は完了。

「篤人くん(笑)」

なんだかニヤニヤしながらAはこちらへ向かってきて、俺の頭に手を伸ばす。

「寝癖(笑)」

優しく触れる小さな手。

篤人「いーよ別に。気にならない。」

「ぴょんってなってますよ(笑)」

篤人「いーの。」

Aの手をとってから、ひょいっと抱き上げる。軽々と持ち上げることができる。Aは軽すぎる。

小さな体。この体で世界と戦っていく。

Aはどんな風にボールを追って走るんだろうか。

どんな風にゴールを目指すのだろうか。

ただ気になった。興味があるんだ。

麻也「うっちーきたよー！

って、ええ！？！？！え！？だれ！？」

…間の悪い男だ。