鮮やかに【Atsuto.u】 (ページ23)

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話さないといけない。

私の、過去。

なんで今ここにいるのか。

きっとみんな気になってるはずだ。

「篤人くんが帰ってきたら、聞いてほしいことがあります。」

麻也くんも真司くんも、マキくんも、すっごい優しい顔してた。

麻也「聞くよ、どんなことでも。」

真司「頼れる兄貴になんでも話しーや！」

マキくんは何も言わずに頷いてくれた。

篤人くん、早く帰ってきて。

話したいことが、あるの。

聞いてほしいことが、ある。

ガタッと静寂を破る音は、ドアが開いた途端に誰かの倒れこむ音だった。

麻也「うっちー…？」

真司「どうしたんや！」

リビングのドアを開けてすぐのところに倒れこんだ篤人くんは、起き上がらない。

槙野「熱、高い…。麻也、車出して！病院！」

駆け寄る3人を見て、頭を駆け巡るあの日のこと。

いやだ。

いやだ。

もう誰かが ''壊れる'' のは、見たくない。

見ていられない。

いや。

陽介…。

篤人「A。」

か細くも力強い、篤人くんが私を呼ぶ声。

「篤人くん…？」

篤人「だいじょーぶ。」

肩で息をしてて、顔は真っ赤で。

それなのに、篤人くんは、言った。

大丈夫。

「篤人くん…っ、」

その場に崩れ落ちた私を抱きかかえてくれた腕は、間違いなく篤人くんのものだった。