鮮やかに【Atsuto.u】 (ページ3)

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『ニュース見たか！？』

次の日、練習場では女子加入の話題で持ちきり。
まあそうなるよね。

篤人『見たよ。誰が来るんだろうね。』

『ウシーはまだ聞いてないのか？』

篤人『え、なに、決まってるの？』

ニヤッと笑ったチームメイトたち。

…え、なに。

『来てからのお楽しみだな！』

チームの上層部には、少し前からニュースは知らされてたみたいで、もう選考は済んでいるらしい。

…なにも知らなかった。

まあ、女子リーグの選手に顔見知りがいるわけでもないし、別にいいか。

監督から、一週間後に合流すると聞いて、ひと盛り上がりしてから練習を開始した。

中にはよく思ってない奴らもいる。

『女をいれるなんて、どうかしてる。』

『ブンデスでやっていけるわけがない。』

俺もどっちかって言ったら否定派かも。

サッカーの伝統を壊してまで女子を加入させるメリットが感じられない。

軽めの調整メニューを終え、さっさと着替えてロッカールームを出る。

環境が変わることは、苦手。

新しいナニカが、あまり好きではない。

篤人「一週間後、か。」

一週間あれば、それなりに心の準備もできるだろうってことだろーな。

駐車場に向かう途中で、とんっと背中に小さな感触を覚えた。

「あ、あ、すいません！じゃなくて、えっと、フェアツァイ、ウイング！」

振り返ったら、小さな女の子がいた。

…いや、歳はそこそこいってるか、俺よりは若いだろうけど。

たどたどしいドイツ語と、日本語が折り重なった。透き通る綺麗な声。

篤人「あ、うん、大丈夫？」

「え、っと、日本人…？ですか…？」

んん、俺のこと知らない？

わりと有名なはずなんだけどな。(笑)

篤人「うん。だから日本語で大丈夫。こんなとこでなにしてるの？」

「あ、いや、練習場を見に来たんですけど迷っちゃって…。」

…ファン？サポーター？

篤人「あっちいけばすぐグラウンドだから。」

俺の指差した先を見つめ、パァッと明るい表情を浮かべる。