閑話 お盆 ページ8
このおはなしは、時透くんの記憶が戻ったあとのお話。
ミーンミンミンミンミン……ジジジッ…ジッ……
すごく暑い。本当に暑い。
ジリジリと照りつける日で汗が滲み出る。この気温と一緒に汗も溶けて僕も一緒に溶けそうだ。と思っていた。
今は屋敷に1人ですることがない。掃除も、鍛錬もある程度終え、休憩しているのだ。
昨日Aさんと任務に行った。久しぶりに会ったから色々話が弾んでとても楽しかった。
そう言えば、昨日Aさんと、
「明日からお盆だね〜。そう言えばしばらく精霊馬作ってないな〜。」
「しょうりょううま??」
精霊馬ってなんだろう?と、首を傾げる。
「時透くんも、1度は見た事あると思うよ!
茄子を牛 キュウリを馬にみたてて作るあれ!!」
「あれ精霊馬って言うんだ……」
「私も初めて聞いた時は分からなかったよ〜」
という話をしていた。
キュウリの馬は里帰りする際に、茄子の牛はあの世に戻る際に、ご先祖様が乗るらしい。
じゃぁ茄子の方を作らなかったら、ずっとこっちに留まってくれるのだろうか。そんな馬鹿なことを考えていた。
「兄さん。母さん父さん……。」
無意識にぽつりと口からそうこぼれた。
「作ってみようかな。」
死んだ人間は戻ってこない。そう心に留めている。
だから、本来ならこんなこと馬鹿馬鹿しいと思うのだろう。霊が野菜に乗ってこちらに、里帰りするだなんて。
でもなんでだろうな。不思議と作ってみたくなった。
昨日Aさんに会って浮かれたのと、この異常な暑さのせいだろうか。
僕は精霊馬の材料を買いに町へ行く準備を始めた。
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柚木 岬 - リンゴさん» ありがとうございます!!!!!!!これからも見ていただければ幸いです!!!!!!! (2019年9月15日 18時) (レス) id: 7d9b2a2f36 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - ギャーーーーーーーー(汚い高音)最高です!頑張れ。 (2019年9月15日 9時) (レス) id: fa8cdcdbb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚木 岬 | 作成日時:2019年9月14日 15時