二章・6話 ページ13
るぅとside
すっかり仲良く話し出したさとみくんところちゃんを見てホッとしていると、ふと視線を感じた。明らかにジェルくんだ。
(……)
どうしてもそちらは向けなかった。
“恋じゃん”ところちゃんに言われた途端腑に落ちた。そうか。僕はジェルくんに恋してるのか、と。
それはどう足掻いたって許されるようなものではない。
同性愛にメンバー間に配信者という立場。
リスナーを大事にしたいという思いも嘘じゃない。
もしバレてしまったら、快く思わない人達に馬鹿にされるのは僕だけではない。
(僕を好きだと言ってくれる人に大切なメンバーまで同時に、“あんな奴と関わってる”、なんて馬鹿にされるかもしれない)
隠し通さなくてはいけない。けど、面と向かって隠す自信がない。
あからさまに目を合わせることを避けているこの状況は不自然だが、だからといってどうにかできる問題ではなかった。思わず手を振り払ってしまったことも、なんと説明すればいいのか、わからない。
「るぅと。なぁ。」
ジェルくんに声をかけられて下を見たままなに、と簡単に返事をする。
「そろそろ説明してくんない？」
「なにを」
「わかんないの。」
「あ、そうだカラオケのお金ー……！」
「るぅと！」
誤魔化そうとしても無駄だった。ぐい、と顎を引かれ、ジェルくんと顔を合わせてしまう。
「……！」
すぐに顔を背けた。
久々にジェルくんと顔があった。体温がどんどん上昇していく。まずい。これは。相当重症だ。その様子を見かねたかのように、ジェルくんは諦めたように下を向いた。
「……なんで俺そんな嫌われたん？」
違う、とすぐにでも声に出したがったが、言ってしまったら同時に好きだと口をついてしまいそうで、ただ首を振った。呆れたように、悲しそうにジェルくんが笑う。
「無理言ってごめんな。もう、こんな乱暴せんとく。」
どうしたらいいのか、わからなかった。わからない。言ったら嫌われるだろう。巻き込んでもしまう。でも、口を噤んでいればまたそれは傷つけてしまう。
八方塞がりな恋に、早く終止符が打ちたかった。
(嫌いになってしまえたら、いいのに。)
日の落ちた暗さは感情を隠すのに便利だった。嫌いじゃないことを伝えたくて、そっとジェルくんの裾を掴んで歩いた。ジェルくんはもう、何も言わなかった。
___________
二章完です。
三章はななもりーぬの話もしたい…
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せいら(プロフ) - 律@ティアプリさん» ありがとうございます……！めちゃくちゃ励みになります……！頑張ります(*´∀`)♪ﾜｰｲ (2019年11月24日 23時) (
レス) id: c2535f97e6 (このIDを非表示/違反報告)
律@ティアプリ(プロフ) - めちゃめちゃ好みです…！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください(*´∀｀*) (2019年11月24日 20時) (レス) id: a2d31bad2e (このIDを非表示/違反報告)
せいら(プロフ) - ぱーぷるうさぎ。さん» うわああありがとうございます！小説書くのど初心者なので色々と手探りですがありがたいです…！頑張ります＼(^^)／ (2019年11月22日 21時) (レス) id: c2535f97e6 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷるうさぎ。 - この小説とても好きです！これからも頑張ってください (2019年11月22日 20時) (レス) id: 743cd17f4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：せいら | 作成日時：2019年11月20日 9時
