伍頁 ページ6
ピッ、ピッ、ピッ、と心電図が動き、恐る恐るという風に扉を全開にすると何の障害もなく弱々しい私が写った。
「精神だけすっぽり体から抜けたケースは少ないもんやで」
『生きてる、んでしょうか、私は…』
「心臓が動いてる限り」
地獄にいる時、ふと自身の胸に手を当てた時があった。
間違いなく、私の心臓は動いていて、何かの間違いだと思い込み咄嗟に知らないフリをした。
また自身の胸に手を当てる。……動いている、動いている。紛れもなく、生きているのだ、私は。
「せやけどアホやなぁ、死ねって冗談で言われたんやろ？」
『なんで冗談と決めつけられるのですか』
「冗談やったらこうやってお友達も見舞いになんか来んやろ」
ベッド脇のテーブルには花瓶に活けられた新しい花とバスケットに入った新鮮なフルーツが置かれている。
返す言葉が見当たらなくて床を見つめていると背中にポン、と手を当てられて見上げると今度は表情を浮かべた鬼さんが頭を撫でた。
「ほら、自分の居場所に帰り？まだ地獄には来んでええから」
『……鬼さん、涙が、止まらないんです…』
拭っても拭っても溢れてくる涙は泣き止んで欲しいと思っても言うことを聞いてくれなくておまけに鼻までツンと刺激してきた。
「…安心しぃ、また会えるから」
鬼さんはそれは嬉しそうに、悲しそうに、辛そうに私の背中を押すと私は寝たきりの私の肉体にとぽん、と水が落ちる音を立てて難なく入ってみせた。
『…また、"トントン"さん』
意識が浮上する直前、本当に無意識に口が動いたらしい。
次には全く何も覚えておらず私がガスで死のうとした記憶だけしか頭に残っていなかったのだが。
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青年A(プロフ) - リディーさん» 荒ぶらせることが出来て大満足です！ありがとうございます、作者だけでなくリディーさんもお体にお気をつけて。 (2021年3月9日 18時) (
レス) id: 83ce93a423 (このIDを非表示/違反報告)
リディー - つっら…尊…すっき…語彙力ぶっ飛ぶくらいには好き…心臓が痛いです。これからも応援してます。体にお気を付けて。 (2021年3月9日 16時) (レス) id: 5744dc7a34 (このIDを非表示/違反報告)
青年A(プロフ) - あずきもち。さん» お読み下さりありがとうございます！コメントを頂いた作者の目もｱﾗﾙｶｧｲです (2021年3月8日 16時) (レス) id: 83ce93a423 (このIDを非表示/違反報告)
あずきもち。 - このお話めっちゃ深いですね…。なんか深すぎて目からｱﾗﾙｶｧｲでした。(え) (2021年3月8日 0時) (レス) id: bd8875cae3 (このIDを非表示/違反報告)
青年A(プロフ) - しのみや＠元シャノさん» お久しぶりです、シャノさん！シャノさんが望むのであればヒモになり財布になり…(( ありがとうございます！短編の予定なのですぐに終わりますが…！ (2021年2月23日 20時) (レス) id: 071d1f2325 (このIDを非表示/違反報告)
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