傷 ページ36
｢A、
一寸来てくんないかい？｣
ナオミさんと話していた与謝野先生がこちらに向かって手招きしてきた。
『なんですか？？』
「ナオミがAに渡したい物があんだってさ」
渡したい物？、と言ってナオミさんの方を向くと、
笑顔で物を渡された
『これは…』
｢先程
金を基調として作られたその簪は赤い花がちょこんと咲いており、とても可愛らしかった
『可愛い…』
｢でしょう？Aさんに絶対似合うと思うの！｣
『でも申し訳…』
｢はいはい遠慮なんかすんじゃないよ。折角貰ったんだ。有難く頂きな｣
そう言うと与謝野先生は、簪を挿してやるよ、と言って、私の髪をまとめ始めた。
ふと、与謝野先生の手が止まる
｢…アンタ、この頭の傷はなんだい？｣
『え？』
言われて思い出そうとするが、最近頭を怪我した記憶はない。
｢いや、古傷みたいなのあるけど、
覚えはないのかい？結構大きいよ｣
『古傷、ですか？』
私はもう一度思い返してみたが、そんな傷が残るほどの怪我をした覚えもない
『記憶にないですね…』
｢もっと前は？｣
『え、』
急に話しかけられて驚いてしまう。
後ろで駄菓子を食べながらソファに掛けていた乱歩さんが、こっちを向いていた。
｢千年とか、生まれた時とかじゃない。
もっと前。生まれる前だよ｣
『それって…』
｢そう、前世｣
そう言って乱歩さんは立ち上がり、こちらに歩いてきた。
｢乱歩さん、いくらなんでも前世だなんて｣
与謝野先生が笑いながら否定する
｢君は覚えているだろ？ここへ来る前。前世の記憶を｣
『…覚えていますが、頭を怪我した記憶は…』
｢なッ、アンタ｣
｢ええ…！｣
その言葉にナオミさんと与謝野先生が反応する
当たり前だ、前世の記憶があるなんて言ったことないんだから
｢死んだ瞬間は？｣
『え』
乱歩さんにそう言われて、脳内にノイズがかった記憶が流れる
＿＿＿＿＿そういえば私、何で死んだっけ？
思い出しても、死んだ瞬間が出てこない。
私が俯いていると、乱歩さんがつまらなそうに
｢ま、僕は興味ないけど〜｣
と立ち去った
結局私は死んだ瞬間を思い出せなかった
とりあえずその後与謝野先生が簪を挿してくれて、
すごい似合ってますわ！！
似合ってるじゃないか、と二人に褒められた
終わり
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月19日 22時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
key - お疲れ様です。 (2021年7月30日 11時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(プロフ) - すごく面白いです！更新待ってます！ (2020年3月5日 17時) (レス) id: 3a5cebd5e2 (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - 面白いっ！素敵な作品をありがとうございます。これからも更新頑張って下さい！応援しています。 (2019年8月18日 18時) (レス) id: 2ac506ad59 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます！こんな長文いただけでとても嬉しいです！！頑張って更新していくので、これからもよろしくお願いします！ (2019年8月15日 16時) (レス) id: dd33592cf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ロイ | 作成日時：2019年4月17日 22時
