検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:160,283 hit

陸 ─── ページ7

「国木田、なんの騒ぎなの」

忙しそうに事務員の皆さんに指示出しをしていた国木田は、私の問いに顔をしかめた。

社内はかなり騒がしくなっていた。電話のベルはひっきりになしに鳴り、誰かがばたばたと駆ける音が響く。

先程迄の平穏は何処へやら、といった様子だ。

「幕僚護衛の依頼が同時に三件入った」

「珍しいね。大きな会議も無いのに」

「ポートマフィアの抗争が市内のあちこちで起こっているらしい。丁度市議会が終わった所で…………くそっ、何考えてる」

「目立ったマフィアの抗争は狙ったものじゃない。喧嘩を吹っ掛けられたんだろう」

口を開いたのは太宰様だった。

少し考え込む素振りを見せた後、表情を引き締める。

「基本、マフィアは隠密主義だ。自ら「私達がしました」というような行動はとらない」

此方も珍しく真面目な発言をした太宰様に、国木田が目を丸くした。

「太宰、お前、詳しいな」

「探偵社に居る以上、裏社会にも詳しくないとね」

こっそりウィンク飛ばさなくていいですから。

と、社長室の扉が開いた。

社内の視線が一斉に、出てきた銀髪の男に集まる。

「今回の仕事は危険なものとなる。よってバディ制をとることにした」

…………うわぁい。二人組とは嫌な予感がするー。

「与謝野は国木田と。Aは太宰とだ。護衛対象の資料は後で春野から貰え」

「げ、やっぱりそうなると思った」

げんなりした顔で隣を見ると、私とは正反対に嬉しそうな様子の太宰様。

あまりの輝かしいオーラに晶子も眉を潜めている。

そのすぐ横で、不機嫌な声が上がった。

「社長ぉー。僕はー?」

口をへの字にして陳情する乱歩さんに、社長は涼しい顔で答える。

「私とだ、乱歩。不満か?」

この答えには乱歩さんのみならず、社内全員がざわめいた。

…………社長が出張る程の大物が居るというの!?

もしくは只単に武闘派が足りなかっただけか。

そこまで考えて、はたと、あることに気付いた。

「あのー社長。私のところ、どちらも好戦的なものじゃないんですけど」

「あぁ、───婚約者、だからな」

そこで貴方が顔を赤くする必要ありませんよ!?

ともあれ、と社長は腕を組んだ。

「直ぐに動く必要がある。対象には傷一つつけてくれるな。では、解散!」

漆 ───→←伍 ───



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (273 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
548人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

椿 - 頑張って下さい。 (7月14日 6時) (レス) @page21 id: 12b579857a (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - 更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2021年4月17日 23時) (レス) id: 0d4f326c6a (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(プロフ) - 更新待ってます! (2020年2月24日 10時) (レス) id: 3a5cebd5e2 (このIDを非表示/違反報告)
ロット - 抱きたい症候群とは、小説の名前ですか? (2018年5月19日 15時) (レス) id: a63c890358 (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - 更新待ってます (2017年5月21日 19時) (レス) id: b4564d59b9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月29日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。