陸 ─── ページ7
「国木田、なんの騒ぎなの」
忙しそうに事務員の皆さんに指示出しをしていた国木田は、私の問いに顔をしかめた。
社内はかなり騒がしくなっていた。電話のベルはひっきりになしに鳴り、誰かがばたばたと駆ける音が響く。
先程迄の平穏は何処へやら、といった様子だ。
「幕僚護衛の依頼が同時に三件入った」
「珍しいね。大きな会議も無いのに」
「ポートマフィアの抗争が市内のあちこちで起こっているらしい。丁度市議会が終わった所で…………くそっ、何考えてる」
「目立ったマフィアの抗争は狙ったものじゃない。喧嘩を吹っ掛けられたんだろう」
口を開いたのは太宰様だった。
少し考え込む素振りを見せた後、表情を引き締める。
「基本、マフィアは隠密主義だ。自ら「私達がしました」というような行動はとらない」
此方も珍しく真面目な発言をした太宰様に、国木田が目を丸くした。
「太宰、お前、詳しいな」
「探偵社に居る以上、裏社会にも詳しくないとね」
こっそりウィンク飛ばさなくていいですから。
と、社長室の扉が開いた。
社内の視線が一斉に、出てきた銀髪の男に集まる。
「今回の仕事は危険なものとなる。よってバディ制をとることにした」
…………うわぁい。二人組とは嫌な予感がするー。
「与謝野は国木田と。Aは太宰とだ。護衛対象の資料は後で春野から貰え」
「げ、やっぱりそうなると思った」
げんなりした顔で隣を見ると、私とは正反対に嬉しそうな様子の太宰様。
あまりの輝かしいオーラに晶子も眉を潜めている。
そのすぐ横で、不機嫌な声が上がった。
「社長ぉー。僕はー?」
口をへの字にして陳情する乱歩さんに、社長は涼しい顔で答える。
「私とだ、乱歩。不満か?」
この答えには乱歩さんのみならず、社内全員がざわめいた。
…………社長が出張る程の大物が居るというの!?
もしくは只単に武闘派が足りなかっただけか。
そこまで考えて、はたと、あることに気付いた。
「あのー社長。私のところ、どちらも好戦的なものじゃないんですけど」
「あぁ、───婚約者、だからな」
そこで貴方が顔を赤くする必要ありませんよ!?
ともあれ、と社長は腕を組んだ。
「直ぐに動く必要がある。対象には傷一つつけてくれるな。では、解散!」
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椿 - 頑張って下さい。 (7月14日 6時) (レス) @page21 id: 12b579857a (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - 更新楽しみにしてます!頑張って下さい! (2021年4月17日 23時) (レス) id: 0d4f326c6a (このIDを非表示/違反報告)
*深音*(プロフ) - 更新待ってます! (2020年2月24日 10時) (レス) id: 3a5cebd5e2 (このIDを非表示/違反報告)
ロット - 抱きたい症候群とは、小説の名前ですか? (2018年5月19日 15時) (レス) id: a63c890358 (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - 更新待ってます (2017年5月21日 19時) (レス) id: b4564d59b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久田 螺々亜 | 作成日時:2016年4月29日 12時